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February 13, 1997 Vol. 336 No. 7

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黒人系アメリカ人の遅発型心アミロイドーシスにおける変種配列トランスサイレチン(イソロイシン 122)
VARIANT-SEQUENCE TRANSTHYRETIN (ISOLEUCINE 122) IN LATE-ONSET CARDIAC AMYLOIDOSIS IN BLACK AMERICANS

D.R. Jacobson and Others

背景

年齢 60 歳以降,孤発性心アミロイドーシスは,アメリカの黒人では白人より発生率が 4 倍高い;黒人の 3.9%は,正常血清キャリア蛋白であるトランスサイレチンの 122 位のバリンがイソロイシン(Ile122)に置き換わっているアミロイド発生対立形質のヘテロ接合体である.われわれは,トランスサイレチン Ile122 の高発生率が,少なくとも一部には黒人における老人性心アミロイドーシスの発生率増加の原因であるという仮説を立てた.

方 法

ロサンゼルスでの 52,370 件の剖検に関するこれまでの研究から,心組織のパラフィンブロックを得て,免疫組織分析と DNA 分析によって調べた.孤発性心アミロイドーシスを有する 60 歳以上の黒人 55 人中 32 人と白人 78 人中 20 人からと,二つの対照群(228 例)からサンプルを入手した.

結 果

黒人患者の心組織サンプル 32 例中 31 例,そして白人患者のサンプル 20 例中 19 例にトランスサイレチンアミロイドーシスを確認した.Ile122 変種に関してヘテロ接合体であったのは,黒人患者の分析可能な DNA サンプルでは 26 例中 6 例(23%),そして白人患者では 19 例中ゼロであった.同じ施設で アミロイドーシスを有しない黒人に関する別のより最近の年齢マッチコホートの剖検時に得られた DNA サンプルでは,125 例中 4 例(3.2%)がトランスサイレチン Ile122 対立形質に関してヘテロ接合体であった.再検査では,これら 4 人の患者からの心組織に,初回剖検時には検出されなかった少量のアミロイドが含まれていた.Ile122 変種を有する被験者はすべて,心室性アミロイドであった.

結 論

説明できない心疾患を有する高齢黒人患者を評価するさいには,トランスサイレチンアミロイドーシス,とくに Ile122 対立形質に関連するものを考慮すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 466 - 73. )