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日本語アブストラクト

January 2, 1997 Vol. 336 No. 1

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S 字結腸鏡検査によって検出される直径 5 mm 以下の腺腫の重要性
IMPORTANCE OF ADENOMAS 5 mm OR LESS IN DIAMETER THAT ARE DETECTED BY SIGMOIDOSCOPY

T.E. Read, J.D. Read, and L.F. Butterly

背景

S 字結腸鏡検査で検出される直径 5 mm 以下の腺腫を有する患者における結腸鏡検査の必要性については意見が分かれている.

方 法

われわれは,結腸直腸癌のリスクが平均的で,スクリーニングのために行った光ファイバー S 字結腸鏡検査で指標となる病変が良性腺腫である無症候性患者において,近位結腸新生物の発生をプロスペクティブに検討した.S 字結腸鏡で認められたポリープの生検を行い,新生物ポリープを有する患者全員に結腸鏡検査を勧めた.直腸 S 字結腸腺腫を微小(直径 5 mm 以下),小(直径 6~10 mm),そして大(直径 11 mm 以上)に分類した.

結 果

S 字結腸鏡検査が行われた連続した患者 3,496 人中 311 人に新生物様直腸 S 字結腸ポリープを認めた;これらの患者のうち 108 人は,結腸新生物の病歴があること,臨床症状があること,以前に結腸検査が行われていること,あるいは追跡調査データが不完全なために分析から除外した.残る患者 203 人を試験群とし,全員が結腸鏡検査を受けた.指標ポリープが微小の患者 137 人中 40 人(29%)に近位結腸に新生物を認めた; 指標ポリープが小の患者では 52 人中 15 人 ( 29% ),そして指標ポリープが大の患者では 14 人中 8 人(57%)に近位結腸新生物を認めた.進行した新生物(直径 10 mm 以上の腺腫,絨毛成分を有する腺腫,または中等度から重度の異形成,in situ 癌,そして明白な癌)を,それぞれ患者 8 人(6%),5 人(10%)および 4 人(29%)に認めた.指標ポリープが微小の患者 2 人では近位の in situ 癌;患者 2 人では近位第 I 期癌;指標ポリープが大の患者 1 人では 近位第 III 期癌が認められた.

結 論

直径 5 mm 以下の直腸 S 字結腸腺腫を有する無症候性の平均的リスク患者における進行病変を含む近位結腸新生物の実質的な発生のため,これらの患者に対する結腸鏡検査は正当である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 8 - 12. )