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March 27, 1997 Vol. 336 No. 13

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骨髄移植後の固形癌
SOLID CANCERS AFTER BONE MARROW TRANSPLANTATION

R.E. CURTIS AND OTHERS

背景

癌を含めた骨髄移植の晩発的影響は,リスクを有する大集団で求める必要がある.

方 法

われわれは,1964~92 年のあいだに 235 ヵ所の施設で同種異系移植を受けた患者(97.2%)または同系移植を受けた患者(2.8%)計 19,229 人を調べて,新たな固形癌発症のリスクを評価した.患者,移植骨髄,そして移植後の経過に関係する危険因子を評価した.

結 果

移植レシピエントは,一般集団より新たな固形癌のリスクが有意に高かった(観察症例,80 例;予測症例に対する観察症例の比,2.7;p<0.001).リスクは,移植後 10 年以上生存者で予測値の 8.3 倍であった.累積発生率は 10 年で 2.2%(95%信頼区間,1.5~3.0%),15 年では 6.7%(95%信頼区間,3.7~9.6%)であった.悪性黒色腫(観察症例対予測症例比,5.0)および口腔癌(11.1),肝癌(7.5),脳またはその他の中枢神経の癌(7.6),甲状腺癌(6.6),骨腫瘍(13.4),そして結合組織腫瘍(8.0)について,リスクは有意に上昇していた(p<0.05).移植時の年齢が若いレシピエントでは,移植時の年齢が高い人よりリスクが高かった(傾向に関する p<0.001).多変量解析では,全身放射線照射の用量が高ければ,固形癌のリスクは高くなった.慢性移植片対宿主拒絶反応および男性は,口腔および皮膚の扁平上皮癌の高リスクに強い関連があった.

結 論

骨髄移植を受けようとする患者は,その後の人生での新たなる固形癌のリスクが増大している.移植後時間が経過するにつれてリスクが増加する傾向であること,および若い患者でのリスクが大きいことは,生涯的な調査の必要性を示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 897 - 904. )