March 27, 1997 Vol. 336 No. 13
家族性心房細動の遺伝子座の特定
IDENTIFICATION OF A GENETIC LOCUS FOR FAMILIAL ATRIAL FIBRILLATION
R. BRUGADA AND OTHERS
心房細動は,もっともよくみられる持続性心律動障害で,200 万人以上の米国人が罹患し,65 歳以上の患者では発作全体の 1/3 を占める.心房細動の分子的機序はわかっていないが,心拍数をコントロールし,全身的塞栓を予防するために姑息的療法が行われている.われわれは,家族構成員 26 人のうち常染色体優性疾患として分離される心房細動を 10 人が示す 1 家系を確認した.その後われわれは,疾患が同じ遺伝子座に連鎖しているさらに二つの家族を確認した.
DNA サンプルを二つのグループ (罹患および非罹患) にプールするという従来とは異なる方法で 300 の多形性ジヌクレオチド繰り返し配列マーカーによってヒトゲノムを選別した.この方法により,遺伝子座の場所を特定するための連鎖分析を行う前に,サンプルの大きさは約 90%減少した.これにより,可能性のある遺伝子座を数週間以内に特定することが可能になった.
10q22–q24 に位置するマーカー D10S569 および D10S607 のロッドスコアは,家族 1 では 3.60 であった.家族 2 および 3 の疾患遺伝子座も同様に同じマーカーに連鎖し,3 家族すべてのデータをまとめると,D10S569 および D10S607 のマーカーについてそれぞれ 6.02 および 5.35 であった.3 家族のハプロタイプ分析により,遺伝子座が D10S1694 と D10S1786 のあいだにあり,11.3 センチモルガンの間隔であることが示された.
家族性心房細動の遺伝子の特定は,この疾患の分子的機序を解明し,後天的疾患に洞察を与えるのに有用である.分析用 DNA サンプルをプールする方法は,従来のスクリーニングより時間およびコスト効率がよく,この方法によって,今後の遺伝子マップ作成の過程が加速されるはずである.