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July 17, 1997 Vol. 337 No. 3

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メディケア HMO の堂々巡り ― 健康者が加入し,病人は出て行く
THE MEDICARE-HMO REVOLVING DOOR — THE HEALTHY GO IN AND THE SICK GO OUT

R.O. MORGAN, B.A. VIRNIG, C.A. DEVITO, AND N.A. PERSILY

背景

メディケア健康維持機構(HMO)はメディケア費用増大の抑制に役立つという期待から,HMO への加入が奨励されている.しかし,メディケア HMO は,出来高払いのメディケア支出の年間平均額の 95%を支払われており,より健康なメディケア受給者を選択的に加入させることで,利益が出ると考えられはじめている.さらに,より疾患の重い患者が,メディケア HMO から加入を解除される可能性が高いかどうかは明らかでない.加入を解除することで,出来高払いの平均費用が上がる.

方 法

フロリダ南部における 1990~93 年のメディケア加入記録と入院患者請求記録を用いて,メディケアの出来高払いシステムの受給者 375,406人,加入前の HMO 加入者 48,380 人,加入解除後の HMO 加入者 23,870 人による,入院診療利用の差を調査した.また,これらの差が人口統計学的特性に関連するか否かと,加入解除後の利用パターンが経時的に持続するか否かについても明らかにした.

結 果

HMO 加入者群における登録前年の入院診療利用率は,出来高払い群の利用率の 66%であったが,HMO 加入解除者群における加入解除後の利用率は,出来高払い群の利用率の 180%であった.HMO から加入を解除された受給者は,利用レベルが出来高払い群のレベルまで低下した頃に再加入された.

結 論

これらのデータは,HMO の加入と加入解除に顕著な選択バイアスがあることを示している.これらのバイアスは,メディケアのマネージドケアシステムの有効性を損なうものであり,長期にわたる人口ベースの研究の必要性を浮き彫りにしている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 169 - 75. )