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July 31, 1997 Vol. 337 No. 5

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急性播種性ライム病の治療に対するセフトリアキソンとドキシサイクリンの比較
CEFTRIAXONE COMPARED WITH DOXYCYCLINE FOR THE TREATMENT OF ACUTE DISSEMINATED LYME DISEASE

R.J. DATTWYLER AND OTHERS

背景

遊走性紅斑として現れる限局性ライム病は,通常,ドキシサイクリンまたはアモキシシリンの経口投与によって治療する.急性播種性 Borrelia burgdorferi 感染症に対しては,限局性感染症とは異なる治療を施すべきか否かはわかっていない.

方 法

われわれは,実際の薬剤によるプロスペクティブ無作為多施設試験を実施して,髄膜炎を発症していない急性播種性 B. burgdorferi 感染症患者において,セフトリアキソンの非経口投与(2 g を 1 日 1 回,14 日間投与)とドキシサイクリンの経口投与(100 mg を 1 日 2 回,21 日間投与)を比較した.遊走性紅斑の皮膚病変を試験登録の必要条件とし,多発性遊走性紅斑または臓器病変の客観的証拠のいずれかによって,播種性疾患であることを示さなければならなかった.

結 果

登録患者 140 人中,133 人が多発性遊走性紅斑病変を有した.いずれの治療も非常に有効であった.最終評価時の臨床治癒率は,セフトリアキソン治療患者(85%)とドキシサイクリン治療患者(88%)で同程度であった;治療失敗とみなされたのは,各群とも患者 1 人にすぎなかった.感染症が治癒した患者で,最後の追跡調査診察時に 1 例以上の残存症状を報告したのは,セフトリアキソン群では患者 67 人中 18 人(27%)であったのに対し,ドキシサイクリン群では 71 人中 10 人(14%,p≧0.05)であった.もっとも一般的な持続症状は軽度の関節痛であった.いずれのレジメンもよく耐容された;副作用のために試験離脱したのは,各群とも 4 人のみ(6%)であった.

結 論

髄膜炎を発症していない急性播種性ライム病患者では,ドキシサイクリンの経口投与およびセフトリアキソンの非経口投与は,疾患の遅延型発現の予防に等しく有効であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 289 - 94. )