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August 21, 1997 Vol. 337 No. 8

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メタ分析とその後の大規模無作為対照臨床試験との相違
DISCREPANCIES BETWEEN META-ANALYSES AND SUBSEQUENT LARGE RANDOMIZED, CONTROLLED TRIALS

J. LELORIER, G. GRÉGOIRE, A. BENHADDAD, J. LAPIERRE, AND F. DERDERIAN

背景

メタ解析は,臨床戦略を支持する証拠を得るために,いまや広く用いられている.しかし,大規模無作為対照臨床試験は,臨床処置の有効性を評価する絶対的基準とみなされている.

方 法

4 種の医学誌(The New England Journal of Medicine,the Lancet,the Annals of Internal Medicine,および the Journal of the American Medical Association)に投稿された大規模無作為化対照試験(患者 1,000 人以上を含む)の結果を,同じ題目に関してそれよりも早く発表されたメタ解析の結果と比較した.主要転帰と副次的転帰に関して,われわれは,無作為化試験の知見が,対応するメタ解析の知見と一致するか否かを判断し,従来の統計学的有意水準(p < 0.05)で,試験結果が陽性か(治療が転帰を改善した),陰性か(治療した場合の転帰が,治療しない場合と同じか悪化)を決定した.

結 果

同じ問題を取り扱う 12 の大規模無作為臨床試験と 19 のメタ解析を確認した.計 40 の主要転帰と副次的転帰に関して,メタ解析と大規模臨床試験が一致したのはごくわずかであった(κ = 0.35;95%信頼区間,0.06~0.64).メタ解析の陽性予測値は 68%,陰性予測値は 67%であった.しかし,無作為臨床試験とメタ解析とのポイント推定値の差が統計学的に有意であったのは,40 比較中わずか 5 比較にすぎなかった(12%).さらに,それぞれの場合の相違点は,一つの手法に統計学的に有意な治療効果を認めたが,もう一方の手法には統計学的に有意な効果を認めなかった,ということであった.

結 論

われわれが調べた 12 の大規模無作為対照臨床試験の転帰は,同じ題目に関して先に発表されたメタ解析では,その 35%が正確に予測されなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 536 - 42. )