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September 18, 1997 Vol. 337 No. 12

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難治性精神分裂病入院患者におけるクロザピンとハロペリドールの比較
A COMPARISON OF CLOZAPINE AND HALOPERIDOL IN HOSPITALIZED PATIENTS WITH REFRACTORY SCHIZOPHRENIA

R. ROSENHECK AND OTHERS

背景

比較的高価な向精神薬であるクロザピンは,難治性精神分裂病患者の治療に広く用いられている.これは錘体外路性副作用の発生率が低いが,顆粒球減少症を引き起すことがある.症状,社会的機能,およびヘルスケアの利用と費用に及ぼすクロザピンの効果に関する長期的評価はまだない.

方 法

15 の復員軍人専門医療センターにおいて,クロザピン(患者 205 人)とハロペリドール(患者 218 人)に関する無作為 1 年二重盲検比較試験を実施した.参加者全員が難治性精神分裂病で,この疾患による前年度入院日数は 30~364 日であった.患者は全員,臨床的に必要とされる症例管理,および社会的リハビリテーションサービスを受けていた.

結 果

割付け治療を 1 年間すべて継続したのは,クロザピン群では患者 117 人(57%)であったのに対し,ハロペリドール群では患者 61 人(28%)であった(p<0.001).精神分裂病の陽性および陰性症候群尺度(Positive and Negative Syndrome Scale of Schizophrenia)に従って判断すると,すべての追跡調査評価において,クロザピン群の患者はハロペリドール群の患者より症状レベルが 5.4%低かった(平均スコア,79.1 対 83.6;p=0.02).QOL 尺度に関する差は,intention-to-treat に基づく分析では有意でなかったが,他方の治療に変更しなかった患者では有意であった(p=0.003).1 年間では,クロザピン群の患者は,ハロペリドール群の患者より精神的理由での平均入院日数が少なく(143.8 対 168.1 日,p=0.03),外来患者サービスをより多く受けた(133.6 対 97.9 単位サービス,p=0.03).社会に対する 1 人当りの総費用は高かった-クロザピン群で 58,151 ドル,およびハロペリドール群で 60,885 ドル(p=0.41).向精神薬の 1 人当り費用は,クロザピン群で 3,199 ドル,そしてハロペリドール群で 367 ドルであった(p<0.001).クロザピン割付け患者では晩発性ジスキネジアが少なく,また錘体外路性副作用も少なかった.クロザピン群では顆粒球減少症が患者 3 人に発症した;全員が完全に回復した.

結 論

病院利用の割合が高い難治性精神分裂病患者では,クロザピンはハロペリドールよりいくぶん有効で,副作用が少なく,総費用は同程度であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 809 - 15. )