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April 16, 1998 Vol. 338 No. 16

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心室ペーシングで治療した高齢者と二腔ペーシングで治療した高齢者とにおける QOL および臨床転帰の比較
QUALITY OF LIFE AND CLINICAL OUTCOMES IN ELDERLY PATIENTS TREATED WITH VENTRICULAR PACING AS COMPARED WITH DUAL-CHAMBER PACING

G.A. LAMAS AND OTHERS

背景

標準的な臨床診療では,心臓ペーシングを必要とする患者の大部分に,心室単腔ペースメーカーまたは二腔ペースメーカーのいずれかを用いることが可能である.心室ペースメーカーはより安価であるが,二腔ペースメーカーはより生理的であると考えられている.しかし,いずれのタイプのペースメーカーでより良好な臨床転帰が得られるかはわかっていない.

方 法

「高齢者ペースメーカー選択試験」は,29 施設の 65 歳以上の患者 407 人において,心室ペーシングと二腔ペーシングとを比較した 30 ヵ月の単盲検無作為化対照比較である.患者に,心室ペーシングまたは二腔ペーシングのいずれかが行われるよう無作為にプログラムされた二腔ペースメーカーを植え込んだ.主要エンドポイントは,医学転帰研究(MOS)の 36 項目の全般的健康状態調査票(SF-36)で測定した健康関連 QOL とした.

結 果

患者の平均年齢は 76 歳(範囲,65~96 歳)で,60%が男性であった.QOL はペースメーカーの植込み後有意に改善したが(p<0.001),QOL と既定の臨床転帰(心血管イベント,死亡など)のいずれにも,2 つのペーシングモードに差を認めなかった.しかし,心室ペーシング群の 53 人(26%)は,ペースメーカー症候群に関連した症状のために二腔ペーシングにクロスオーバーした.洞機能不全患者では,二腔ペーシングのほうが心室ペーシングよりも QOL と心血管機能状態が中等度に良好であったが,房室ブロック患者ではそうではなかった.洞機能不全患者では,臨床エンドポイントに関して,二腔ペーシングを支持する境界域の統計学的有意の傾向を認めたが,房室ブロック患者では認めなかった.

結 論

永久ペースメーカーの植込みは,健康関連 QOL を改善する.二腔ペーシングに関連した,心室ペーシングを上回る QOL への利益は,洞機能不全患者のサブグループで主に認められた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1097 - 104. )