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April 30, 1998 Vol. 338 No. 18

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偶発的核戦争 ― 冷戦後の評価
ACCIDENTAL NUCLEAR WAR — A POST–COLD WAR ASSESSMENT

L. FORROW AND OTHERS

背景

1980 年代,多くの医学団体が,核戦争の防止を医師という職業のもっとも重要な目的の一つとして認識した.冷戦後の時代が急激に変化した状況を考慮すると,現在の危険の評価には正当な理由がある.

方 法

核兵器保有量と核戦争のリスクに関する最近の論文を再検討した.次に,指導的専門家が重大な危険(核兵器の偶発的発射)をはらむと想定したシナリオ上で起りうる医学的影響を推定した.そして,そのようなイベントのリスクを減少させる可能性のある手段を評価した.

結 果

米国とロシアの核兵器システムは依然,非常警戒態勢にある.この事実がロシアの技術システムの老朽化と結合して,最近,偶発的核攻撃のリスクが増加している.控えめに見積もって,1 隻のロシア潜水艦からの中間サイズの核兵器の偶発的発射によって,米国 8 都市でファイアストームにより 6,838,000 人が死亡するだろう.他にも何百万もの人々がおそらく,放射性落下物からの致死的な放射能に曝されるだろう.すべての核ミサイルの非常警戒態勢の解除と緊急発射能力の除去について合意すれば,この脅威に終止符が打たれることとなる.

結 論

偶発的核攻撃のリスクは近年増加しており,空前の規模で公衆の健康を脅かしている.医師および医学団体は積極的に活動して,そのような災害を予防する政策変更に対して支援すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1326 - 31. )