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June 4, 1998 Vol. 338 No. 23

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初回療法に対する反応が遅い高リスク急性リンパ芽球性白血病の小児に対する導入後強化療法
AUGMENTED POST-INDUCTION THERAPY FOR CHILDREN WITH HIGH-RISK ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA AND A SLOW RESPONSE TO INITIAL THERAPY

J.B. NACHMAN AND OTHERS

背景

初回化学療法に対する反応が遅い(7 日目の骨髄中の芽球が 25%以上)高リスク急性リンパ性白血病(ALL)の小児は,集中治療にもかかわらず,転帰が不良である.われわれは無作為臨床試験を実施して,そのような患児を,導入後化学療法の強化集中治療,または導入後集中化学療法の標準治療のいずれかで治療した.

方 法

1991 年 1 月~ 95 年 6 月に,白血球数が少なくとも 50,000/mm3 の 1~9 歳の小児,または 10 歳以上の小児で,新たに ALL と診断されたが,初回療法に対する反応が遅く,導入化学療法の終了時に寛解期に入った 311 人を無作為割付けして,標準療法(156 人)または強化療法(155 人)を行った.リンパ腫様の特徴を示す患児は除外した.無症候生存率および総生存率は,導入治療の終了から評価した.

結 果

5 年での転帰は,標準療法群より強化療法群で有意に良好であった(無症候生存率の Kaplan–Meier 推計値 [±SD];75.0±3.8 対 55.0±4.5%,p<0.001;総生存率:78.4±3.7 対 66.7±4.2%,p = 0.02).治療間の差は,全員の白血球数が少なくとも 50,000/mm3 であった 1~9 歳の患児でもっとも顕著であった(p<0.001).全コホートにおける副作用に関する危険因子は,白血球数 200,000/mm3 以上(p = 0.004),黒人または白人以外の人種(p<0.001),t(9;22) 転座の存在(p = 0.007)であった.強化療法の毒性効果はかなり強かったが,対処可能であった.

結 論

導入後強化化学療法は,高リスク ALL を有し,初回療法に対する反応の遅い患児の大部分に優れた転帰をもたらす.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1663 - 71. )