QT 間隔の延長と乳幼児突然死症候群
PROLONGATION OF THE QT INTERVAL AND THE SUDDEN INFANT DEATH SYNDROME
P.J. SCHWARTZ AND OTHERS
乳幼児突然死症候群(SIDS)の起源は多数の要因によるが,その原因はわかっていない.われわれは以前に,おそらく心交感神経支配の発達異常に起因する心電図上の QT 間隔の延長が,生命を脅かす心室性不整脈のリスクを増加させ,この悲惨な疾患に関与する可能性があると提言した.この仮説をプロスペクティブに調べた.
1976~94 年のあいだに,新生児 34,442 人について生後 3 日または 4 日目に心電図を記録し,その後プロスペクティブに 1 年間追跡調査した.QT 間隔は心拍数について修正,または修正なしで分析した.
乳幼児 33,034 人の1 年追跡調査データが得られた.死亡 34 例を認め,そのうち 24 例が SIDS による死亡であった.SIDS のために死亡した乳幼児は,修正 QT 間隔(QTc)が生存児(平均 [±SD],435±45 対 400±20 msec,p<0.01)および SIDS 以外の原因によって死亡した乳幼児(393±24 msec,p<0.05)より長かった.さらにまた,QTc 間隔の延長(440 msec 以上の QTc として定義する)を示したのは,SIDS の犠牲者 24 人中 12 人であったが,他の乳幼児ではゼロであった.絶対 QT 間隔を同様の心拍周期長について求めたところ,SIDS で死亡した乳幼児 24 人中 12 人は,全体として試験群の 97.5 パーセンタイルを超える QT 値を示すことが判明した.QTc 延長の乳幼児における SIDS のオッズ比は,41.3(95%信頼区間,17.3~98.4)であった.
生後最初の 1 週間における QT 間隔の延長は SIDS に強く関連する.新生児心電図スクリーニングは,SIDS のリスクを有するかなりの割合の乳幼児の早期識別を可能にし,したがって予防手段を講ずることが可能となるかもしれない.