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June 18, 1998 Vol. 338 No. 25

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プロトロンビン遺伝子変異の保有者および経口避妊薬の使用者における脳静脈血栓症の高リスク
HIGH RISK OF CEREBRAL-VEIN THROMBOSIS IN CARRIERS OF A PROTHRONBIN-GENE MUTATION AND IN USERS OF ORAL CONTRACEPTIVES

I.MARTINELLI AND OTHERS

背景

特発性脳静脈血栓症は,重篤な神経学的障害を引き起しうる.われわれは,遺伝的危険因子(第 V 因子およびプロトロンビンをコードする遺伝子の変異)および非遺伝的危険因子(経口避妊薬の使用など)を含むこの障害の危険因子を評価した.

方 法

脳静脈血栓症患者 40 人,下肢の深部静脈血栓症患者 80 人,そして健康対照者 120 人におけるこれらの危険因子の保有率を比較した.静脈血栓症の遺伝的危険因子と認められている第 V 因子遺伝子の G1691A 変異と G20210A プロトロンビン遺伝子変異を調べた.また,経口避妊薬の使用および他の血栓症の危険因子も評価した.

結 果

プロトロンビン遺伝子変異の保有率は,脳静脈血栓症患者(20%)では正常対照者(3%;オッズ比,10.2;95%信頼区間,2.3~31.0)より高く,深部静脈血栓症患者(18%)と同程度であった.第 V 因子遺伝子の変異に関しても同様の結果が得られた.脳静脈血栓症の女性(96%)では,対照者(32%;オッズ比,22.1;95%信頼区間,5.9~84.2)および深部静脈血栓症患者(61%;オッズ比,4.4;95%信頼区間,1.1~17.8)より,経口避妊薬の使用率が高かった.経口避妊薬を服用していて,プロトロンビン遺伝子変異も有する女性(脳静脈血栓症患者は 7 人であるが,対照者では 1 人)では,脳静脈血栓症のオッズ比は 149.3(95%信頼区間,31.0 ~711.0)に達した.

結 論

プロトロンビン遺伝子および第 V 因子の変異は,脳静脈血栓症に関連する.経口避妊薬の使用もまた,この疾患に強くそして独立して関連する.プロトロンビン遺伝子変異と経口避妊薬の使用が同時に存在すると,脳静脈血栓症のリスクをさらに上昇させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1793 - 7. )