局所進行頭頸部癌に対する併用化学療法を伴う,または伴わない多分割放射線照射
HYPERFRACTIONATED IRRADIATION WITH OR WITHOUT CONCURRENT CHEMOTHERAPY FOR LOCALLY ADVANCED HEAD AND NECK CANCER
D.M. BRIZEL AND OTHERS
放射線療法はしばしば進行頭頸部癌に対する主要な治療法として用いられるが,局所再発率は高く,生存は不良である.われわれは,多分割放射線照射+同時化学療法(併用治療)が多分割放射線照射単独より優れているか否かを調べた.
多分割放射線照射のみで治療した進行頭頸部癌患者には,125 cGy を 1 日 2回,計 7,500 cGy 照射した.併用治療群の患者には 125 cGy を 1 日 2 回,計 7,000 cGy 照射し,シスプラチン 12 mg/m2 体表面積/日とフルオロウラシル 600 mg/m2/日による 5 日間の治療を,放射線照射の 1 週目~6 週目のあいだに行った.放射線療法完了後,大部分の患者にシスプラチンとフルオロウラシルの投与を 2 サイクル行った.
無作為化を行った 122 人中 116 人を分析に含めた.両群とも,大部分の患者が切除不能疾患であった.追跡期間の中央値は 41 ヵ月であった(範囲,19~86 ヵ月).3 年の時点での全生存率は,併用治療群で 55%,多分割群で 34%であった(p = 0.07).無再発生存率は併用治療群のほうが高かった(61% 対 41%,p = 0.08).3 年の時点での疾患の局所制御率は,併用治療群で 70%,多分割群で 44%(p = 0.01)であった.融合性粘膜炎はそれぞれ 77%と 75%に発症した.重度の合併症は,多分割群の患者 3 人,併用治療群の 5 人に発生した.
進行頭頸部癌に対する併用治療は,多分割放射線照射単独より有効で,毒性は高くない.