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November 5, 1998 Vol. 339 No. 19

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腎臓移植ドナーからレシピエントへのヒトヘルペスウイルス 8 感染症の伝播
TRANSMISSION OF HUMAN HERPESVIRUS 8 INFECTION FROM RENAL-TRANSPLANT DONORS TO RECIPIENTS

N. REGAMEY AND OTHERS

背景

ヒトヘルペスウイルス 8(HHV-8)は,移植関連カポジ肉腫を含むすべてのタイプのカポジ肉腫において検出されている.同種移植片による HHV-8 の伝播の可能性を調べるため,われわれは,腎臓移植の前後に HHV-8 の血清陽性率を測定した.

方 法

組換え HHV-8 蛋白 orf 65.2 による酵素結合イムノソルベントアッセイ(EIA)を用いて,移植当日および 1 年後に,腎移植レシピエント 220 人からの血清サンプルの HHV-8 に対する抗体の有無を分析した.陽性結果は,潜在性抗原に対する抗体を検出する間接免疫螢光アッセイとウェスタンブロットによって確認した.追跡調査は少なくとも 4 年行った.

結 果

移植片レシピエントにおける HHV-8 の血清陽性率は移植当日 6.4%から移植 1年後 17.7%に増加した.血清の陽転は移植後 1 年以内に患者 25 人に起っており,カポジ肉腫はそのうち 2 人に移植後 26 ヵ月以内に発現した.陽転患者 10 人から連続血清サンプルを得たが,これらの患者のうち 8 人では,HHV-8 に対する IgM 抗体が移植後 3 ヵ月以内に出現した.陽転した患者 6 人の症例では,ドナーからの血清サンプルも入手でき,5 人(83%)が HHV-8 陽性であった.移植時血清陰性で,HHV-8 陰性ドナーからの移植片を移植した患者 8 人の対照群では,移植後 1 年以内での陽転はなかった.

結 論

HHV-8 は同種腎移植片を通じて伝播し,移植関連カポジ肉腫の危険因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1358 - 63. )