November 19, 1998 Vol. 339 No. 21
マネージドケアシステムにおける特別手当に関するプライマリケア医の経験
PRIMARY CARE PHYSICIAN'S EXPERIENCE OF FINANCIAL INCENTIVES IN MANAGED-CARE SYSTEMS
K. GRUMBACH, D. OSMOND, K. VRANIZAN, D. JAFFE, AND A.B. BINDMAN
マネージドケア機構が,プライマリケア医の診療に影響を及ぼすために特別手当を利用することは,議論が分かれている.われわれは,これらの特別手当の支給回数および効果を調べた.
1996 年に,カリフォルニア州の最大の都市郡において診療を行っているプライマリケア医の確率サンプルを調査した.支給された特別手当のタイプ,特別手当に対する収入の割合,診療における圧力の経験,およびそのような圧力が患者の診療にどのような影響をおよぼすのか,について医師に尋ねた.
マネージドケアシステムに含まれる医師 776 人のデータを分析した.これらの医師の 38%は,マネージドケアシステムとの取り決めにより,何らかのタイプの特別手当がボーナスの形で含まれると報告した.医師の 57%が,マネージドケア機構から患者の委託を制限するように圧力を感じる(17%は,そのような圧力により患者のケアが低下すると思うと報告した)と報告し,そして 75%が 1 日の患者の診察数をより多くするよう圧力を感じていた(24%はそのような圧力により患者のケアが低下すると思うと報告した).給料の取り決めの中に,患者委託に基づく特別手当が含まれると報告した医師は,ケアを低下させるように(補正オッズ比,2.5;95%信頼区間,1.2~5.0),患者委託を制限する圧力を感じていることが他の医師より多く,そして生産性に基づいて特別手当が支給される医師は,彼らがケアの低下だと感じ,より多くの患者を診察するよう圧力を感じていることが多かった(補正オッズ比,2.1;95%信頼区間,1.2~3.8).生産性に合せて特別手当を支給するヘルスケアシステムの医師は,他の医師より,自身の診療に満足している可能性が低かった(補正オッズ比,0.4;95%信頼区間,0.2~0.6)が,ケアの質または患者の満足度に関連して特別手当を支給しているシステムの医師は,非常に満足していることが多かった(補正オッズ比,1.8;95%信頼区間,1.1~3.0).
多くのマネージドケア機構は,さまざまな成績の測定手段を指標としてプライマリケア医に対して特別手当てを支給している.患者委託の制限またはより大きい生産性に依存する特別手当は,ケアの低下であると感じるように医師に選択的な圧力をかける.医療の質および患者の満足度に依存する特別手当があれば,医師の仕事に対する満足度はより大きくなる.