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December 24, 1998 Vol. 339 No. 26

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非潰瘍性消化不良患者における Helicobacter pylori 菌感染症治療の効果の欠如
LACK OF EFFECT OF TREATING HELICOBACTER PYLORI INFECTION IN PATIENTS WITH NONULCER DYSPEPSIA

A.L. BLUM AND OTHERS

背景

Helicobacter pylori 菌感染症の治療が,非潰瘍性または機能的消化不良患者の症状を軽減するか否かは不明である.

方 法

消化不良症状(腹部上部を中心とする中等度から非常に重度の腹痛と不快感)を有する H. pylori 菌感染症患者において二重盲検多施設臨床試験を実施した.消化性潰瘍疾患または胃食道逆流疾患の既往を有する患者,そして上部胃腸管内視鏡検査において異常所見を認めた患者は除外した.患者を無作為割付けして,オメプラゾール 20 mg を 1 日 2 回,アモキシシリン 1,000 mg を 1 日 2 回,そしてクラリスロマイシン 500 mg を 1 日 2 回服用する治療,またはオメプラゾール単独による治療を 7 日間行い,その後 1 年間追跡調査を行った.12 ヵ月目の診察前の 7 日間に消化不良症状がなければ,または症状があっても軽微であれば,治療が奏効したと定義した.

結 果

患者 348 人中 20 人は,H. pylori 菌に感染していなかったため,治療を受けていなかったため,またはデータが得られなかったために無作為化後に除外した.残る 328 人(各群 164 人)について,治療が奏効したのは,オメプラゾールと抗生物質投与群の患者では 27.4%,そしてオメプラゾール単独群では 20.7%であった(p=0.17;2 群の絶対差,6.7%;95%信頼区間,-2.6~16.0).12 ヵ月後,オメプラゾールと抗生物質投与群の患者では 75.0%において胃炎が治癒したが,オメプラゾール群では患者の 3.0%であった(p<0.001);H. pylori 菌根治率はそれぞれ,79%および 2%であった.オメプラゾールと抗生物質投与群では,持続性 H. pylori 菌感染症患者の治療奏効率は,感染症を根治した患者と同程度であった(26% 対 31%).治療後の QOL には群による有意差を認めなかった.

結 論

非潰瘍性消化不良患者では,H. pylori 菌感染症の根治は,症状を軽減する可能性が低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1875 - 81. )