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December 24, 1998 Vol. 339 No. 26

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トリメトプリム,スルホンアミドまたはいずれも忍容できない HIV 感染症患者におけるニューモシスチスカリニ肺炎の予防に対するアトバクオンとダプソンの比較
ATOVAQUONE COMPARED WITH DAPSONE FOR THE PREVENTION OF PNEUMOCYSTIS CARINII PNEUMONIA IN PATIENTS WITH HIV INFECTION

W.M. EL-SADR AND OTHERS

背景

トリメトプリム–スルファメトキサゾールは,ニューモシスチスカリニ肺炎の予防に対する選択薬であるが,多くの患者はこれを忍容できず,代替薬に切り替えなければならない.

方 法

多施設オープンラベル無作為臨床試験を実施して,トリメトプリム–スルファメトキサゾールを忍容できないヒト免疫不全ウイルス感染患者におけるニューモシスチスカリニ肺炎の予防に対して,アトバクオン(1,500 mg 懸濁液)毎日投与とダプソン(100 mg)毎日投与とを比較した.追跡調査期間の中央値は 27 ヵ月であった.

結 果

登録した患者 1,057 人中 298 人にニューモシスチスカリニ肺炎の既往を認めた.ニューモシスチスカリニ肺炎はアトバクオン投与群の患者 536 人中 122 人に発症し(15.7 例/100 人年),ダプソン群では 521 人中 135 人に発症した(18.4 例/100 人年;アトバクオン対ダプソンの相対危険度,0.85;95%信頼区間,0.67~1.09;p=0.20).死亡の相対危険度は 1.07(95%信頼区間,0.89~1.30;p=0.45)で,副作用による割付け投薬中止の相対危険度は,0.94(95%信頼区間,0.74~1.19;p=0.59)であった.ベースラインでのダプソン投与患者 546 人では,副作用による投薬中止の相対危険度は,ダプソンと比較してアトバクオンでは 3.78(95%信頼区間,2.37~6.01;p<0.001)であった;ベースラインでダプソンを投与していない患者では相対危険度は 0.42(95%信頼区間,0.30~0.58;p<0.001)であった.

結 論

トリメトプリム–スルファメトキサゾールを忍容できない患者では,アトバクオンとダプソンはニューモシスチスカリニ肺炎の予防に同程度有効である.われわれの結果は,すでにダプソンを投与している患者ではダプソンによる予防を継続することを支持している.しかし,ダプソンを投与していない患者では,アトバクオンは忍容性がより良好で,ニューモシスチスカリニ肺炎に対する予防の好ましい選択となるであろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1889 - 95. )