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July 30, 1998 Vol. 339 No. 5

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妊娠に伴う多発性硬化症の再発率
RATE OF PREGNANCY-RELATED RELAPSE IN MULTIPLE SCLEROSIS

C. CONFAVREUX AND OTHERS

背景

多発性硬化症はしばしば若い女性に起るが,この疾患に及ぼす妊娠の影響はあまり理解されていない.

方 法

欧州 12 ヵ国において,多発性硬化症の女性 254 人を 269 回の妊娠のさいに調べた.妊娠中および出産後 12 ヵ月まで女性を追跡し,妊娠初期・中期・後期の期間別の再発率と,クルツケ総合障害度スケール(Kurtzke Expanded Disability Status Scale [EDSS])のスコア(0~10 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)を求めた.各妊娠期間の再発率を,妊娠前の 1 年間の再発率と比較した.分娩後最初の 3 ヵ月間の再発率に硬膜外麻酔と母乳栄養が及ぼす影響と,分娩後 12 ヵ月の機能障害スコアも同様に検討した.

結 果

妊娠前の年の平均(±SD)再発率は,0.7±0.9/女性/年であった;妊娠初期では 0.5±1.3(妊娠前の発生率との比較に関して p=0.03),妊娠中期では 0.6±1.6(p=0.17),妊娠後期では 0.2±1.0(p<0.001)であった.再発率は,分娩後最初の 3 ヵ月間に 1.2±2.0 に増加し(p<0.001),その後妊娠時の再発率に戻った.EDSS の平均スコアは追跡期間の 33 ヵ月間に 0.7 ポイント悪化したが,分娩後の期間中に,明らかな急激な悪化はみられなかった.母乳栄養も硬膜外麻酔も,多発性硬化症の再発率,および機能障害の進行に有害な影響を及ぼさなかった.

結 論

多発性硬化症の女性では,再発率は妊娠中,とくに妊娠後期に低下し,分娩後は 3 ヵ月間上昇し,その後妊娠前の再発率に戻る.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 285 - 91. )