The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 20, 1998 Vol. 339 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

中等度に重症のクループに対するブデソニド噴霧,デキサメタゾン筋肉内投与,およびプラセボの比較
A COMPARISON OF NEBULIZED BUDESONIDE, INTRAMUSCULAR DEXAMETHASONE, AND PLACEBO FOR MODERATELY SEVERE CROUP

D.W. JOHNSON AND OTHERS

背景

クループの子供では,ブデソニド噴霧による治療は症状を減少させるが,ブデソニドが,クループに対する従来の治療であるデキサメタゾンと比較してどの程度であるかは明確でなく,いずれが入院率を低下させるかは明確でない.

方 法

われわれは,中等度に重症のクループの子供 144 人による二重盲検無作為臨床試験を実施した.子供をラセピネフリンと,ブデソニド 4 mg の単回噴霧(48人),デキサメタゾン 0.6 mg/kg 体重(47 人)を単回筋肉内投与,またはプラセボ(49 人)単回投与で治療した.治療前および治療後は 1 時間おきに 5 時間,子供を診察した.治療割付けを知らない医師が,子供にさらなる治療および入院が必要か否かを決定した.

結 果

ベースラインでは,確認されたウイルスの型,クループのタイプ,および疾患の臨床重症度などの各群の特徴は同様であった.全体的な入院率はプラセボ群では 71%(子供 49 人中 35 人),ブデソニド群では 38%(48 人中 18 人),およびデキサメタゾン群では 23%であった(47 人中 11 人)(ブデソニドとプラセボの比較に関して未補正で p=0.001,デキサメタゾンとプラセボとの比較に関して p<0.001,そしてブデソニドとデキサメタゾンの比較に関して p=0.18).ブデソニドまたはデキサメタゾンで治療した子供は,プラセボを投与した子供よりクループのスコアに大きい改善を示した(それぞれ,p=0.03 および p<0.001),デキサメタゾンで治療した子供はブデソニドで治療した子供より大きい改善を示した(p=0.003).

結 論

中等度に重症のクループの子供では,デキサメタゾン筋肉内投与またはブデソニド噴霧による治療ではプラセボの投与より速やかな臨床改善が得られ,デキサメタゾンにより最大の改善が得られた.いずれかのグルココルチコイド治療により,入院はより少なくなった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 498 - 503. )