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August 20, 1998 Vol. 339 No. 8

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性感染症の男性から女性への伝播を減少させるためのノノキシノール 9 フィルムに関する対照試験
A CONTROLLED TRIAL OF NONOXYNOL 9 FILM TO REDUCE MALE-TO-FEMALE TRANSMISSION OF SEXUALLY TRANSMITTED DISEASES

R.E. RODDY AND OTHERS

背景

ノノキシノール 9 は効果が立証された殺精子剤であるが,それが殺菌剤でもあるか否かは明確でない.真に有効な腟殺菌剤であれば,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症をはじめとする,性感染症に対する女性の感受性を低下させると思われる.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験においてカメルーンの HIV 陰性の女性性労働者 1,292 人を登録し,ノノキシノール 9 を 70 mg 含むフィルムまたはプラセボフィルムのいずれかを性交前に腟内に挿入するよう無作為割付けをした.女性全員にラテックスコンドームを提供し,男性の性交パートナーにこれを使用してもらうように指導した.毎月の追跡診察時に,女性の性器病変の有無を腟拡大鏡により調べ,子宮頸部検体の淋菌感染およびクラミジア感染の有無を DNA プローブを用いて調べ,HIV 感染を検査し,治療可能な性感染症には治療を行った.

結 果

HIV 感染症の発生率(女性 100 人-年当りの症例数)は,ノノキシノール 9 群では 6.7,プラセボ群では 6.6 であった(発生比,1.0; 95%信頼区間,0.7~1.5).性器病変の発生率は,ノノキシノール 9 群では 100 人-年当り 42.2 例,プラセボ群では 33.5 例であった(発生比,1.3; 95%信頼区間,1.0~1.6).淋菌感染の発生率は,ノノキシノール 9 群では 100 人-年あたり 33.3 例,プラセボ群では 31.1 例であった(発生比,1.1;95%信頼区間,0.8~1.4).クラミジア感染の発生率は,ノノキシノール 9 群では 100 人-年あたり 20.6 例,プラセボ群では 22.2 例であった(発生比,0.9; 95%信頼区間,0.7~1.3).女性は,性行為の 90%でコンドームを使用していたと報告した.

結 論

コンドームを使用し,性感染症に対する治療を受けていたこの性労働者群では,ノノキシノール 9 腟フィルムの使用により,新たな HIV 感染,淋菌感染,クラミジア感染の発生率は減少しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 504 - 504. )