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September 10, 1998 Vol. 339 No. 11

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食欲抑制薬と心臓弁逆流のリスクに関する集団ベース研究
A POPULATION-BASED STUDY OF APPETITE-SUPPRESSANT DRUGS AND THE RISK OF CARDIAC-VALVE REGURGITATION

H. JICK AND OTHERS

背景

最近の症例報告は,食欲抑制薬であるフェンフルラミンとフェンテルミンの併用が心臓弁逆流のリスクの増加に関連することを示唆している.フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンいずれかの単剤を,とくに 3 ヵ月以上,服用した患者での心臓弁疾患の報告もある.

方 法

われわれは,原因不明の心臓疾患であると後に臨床診断されるリスクを評価するために,デクスフェンフルラミンを投与した被験者 6,532 人,フェンフルラミンを投与した被験者 2,371 人,そしてフェンテルミンを投与した被験者 862 人の,集団に基づく追跡調査およびネスト・ケース・コントロール解析を実施した.比較のため,年齢,性別,および体重を治療被験者と一致させた,食欲抑制薬を服用していない肥満被験者 9,281 人のグループを同定した.被験者は全員,追跡調査開始時,心血管疾患と診断されていなかった.すべての被験者の平均追跡調査期間は約 4 年であった.

結 果

新たに特発性弁疾患と診断された症例は 11 例で,デクスフェンフルラミンの使用後が 5 人,そして 6 人はフェンフルラミンの使用後であった.大動脈弁逆流は 6 例,2 例は僧帽弁逆流,3 例は大動脈弁と僧帽弁の逆流であった.食欲抑制薬を投与したことがない被験者,およびフェンテルミンのみを服用した患者では,特発性心臓弁異常の症例を認めなかった.特発性心臓弁疾患の 5 年累積発生率は,食欲抑制薬を服用したことがない被験者(95%信頼区間,0~15.4)およびフェンテルミンのみ(95%信頼区間,0~76.6)を服用した被験者では,被験者 10,000 人当り 0 人で,フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンのいずれかを 4 ヵ月未満服用した被験者では,被験者 10,000 人当り 7.1 人(95%信頼区間,3.6~17.8;食欲抑制薬を服用したことがない被験者との比較に関して p = 0.02),これらの薬剤のいずれかを4 ヵ月以上服用していた被験者では,被験者 10,000 人当り 35.0 人(95%信頼区間,16.4~76.2;p < 0.001)であった.

結 論

フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンの,とくに 4 ヵ月以上の使用は,心臓弁疾患,とくに大動脈弁逆流と新たに診断されるリスクが増加している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 719 - 24. )