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July 9, 1998 Vol. 339 No. 2

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待期的神経外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防におけるエノキサパリン+圧迫ストッキングと圧迫ストッキング単独との比較
ENOXAPARIN PLUS COMPRESSION STOCKINGS COMPARED WITH COMPRESSION STOCKINGS ALONE IN THE PREVENTION OF VT AFTER ELECTIVE NEUROSURGERY

G. AGNELLI AND OTHERS

背景

圧迫ストッキングは,神経外科手術を受ける患者において静脈血栓塞栓症の予防のために推奨されているが,抗凝固剤は,頭蓋内出血の懸念のため広くは容認されていない.

方 法

多施設無作為二重盲検臨床試験において,待期的神経外科手術を受ける患者の静脈血栓塞栓症の予防における,圧迫ストッキングと併用したエノキサパリンの有効性および安全性を評価した.エノキサパリン(40 mg を 1 日 1 回)またはプラセボを,手術後 24 時間以内に開始して少なくとも 7 日間皮下投与した.主要エンドポイントは,客観的に確認した症候性の静脈血栓塞栓症,または 8±1 日目にすべての患者について実施した両側の静脈造影法によって評価した深部静脈血栓症であった.出血の副作用を注意深く評価した.

結 果

治療群に割付けした患者 307 人中,プラセボ群の患者 154 人中 129 人(84%)およびエノキサパリン群の患者 153 人中 130 人(85%)が分析にふさわしい静脈造影試験を行った.プラセボ群では別の患者 1 人が,剖検により確認された肺塞栓症のために静脈造影術の前に死亡した.この分析において,プラセボ群の患者 42 人(32%)およびエノキサパリン群の患者 22 人(17%)が深部静脈血栓症を示した(エノキサパリン群の相対危険度,0.52;95%信頼区間,0.33~0.82;p = 0.004).近位深部静脈血栓症の発生率は,プラセボ群の患者で 13%,そしてエノキサパリン群の患者で 5%であった(エノキサパリン群の相対危険度,0.41;95%信頼区間,0.17~0.95;p = 0.04).プラセボ群の患者 2 人は,9 日目および 16 日目に,剖検により確認された肺塞栓症のために死亡した.大出血はプラセボ群の患者 4 人(4 人全員が頭蓋内出血)およびエノキサパリン群の患者 4 人(3 人が頭蓋内出血)に起った(各群の 3%).

結 論

圧迫ストッキングと併用したエノキサパリンは,待期的神経外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防に対して圧迫ストッキング単独より有効で,過剰な出血を引き起さない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 80 - 5. )