男性の葉巻喫煙が心血管疾患,慢性閉塞性肺疾患,癌のリスクに及ぼす影響
Effect of Cigar Smoking on the Risk of Cardiovascular Disease, Chronic Obstructive Pulmonary Disease, and Cancer in Men
C. IRIBARREN, I.S. TEKAWA, S. SIDNEY, AND G.D. FRIEDMAN
米国における葉巻たばこの売り上げは,1993 年以降,増加している.葉巻喫煙は,ある種の癌と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の危険因子の一つとして知られている.しかし,葉巻喫煙と心血管疾患の関係は,紙巻きたばこの喫煙と心血管疾患との関連とは異なり,明確には確立されていない.
カイザーパーマネンテ健康保険(Kaiser Permanente health plan)に加入し,これまでに紙巻きたばこを吸ったことがなく,その時点でパイプ喫煙をしていないと回答した男性で,ベースライン(1964~73 年)の年齢が 30~85 歳の男性,17,774 例を対象としたコホート研究を実施した.葉巻喫煙者(1,546 例)と非喫煙者(16,228 例)に対して,1971 年から追跡調査を開始し,重大な心血管疾患あるいは COPD による初回入院あるいは死亡に関しては 1995 年末まで,また癌の診断に関しては 1996 年末まで調査を継続した.
多変量解析において,葉巻喫煙者は,非喫煙者と比較して,冠動脈疾患(相対リスク,1.27;95%信頼区間,1.12~1.45),COPD(相対リスク,1.45;95%信頼区間,1.10~1.91),および上気道-上部消化管の癌(相対リスク,2.02;95%信頼区間,1.01~4.06)と肺癌(相対リスク,2.14;95%信頼区間,1.12~4.11)のリスクが高く,しかも用量反応的であることを示す結果が得られた.口腔咽頭癌と上気道-上部消化管の癌のリスクに関しては,葉巻喫煙と飲酒とのあいだに相乗的な関連が示唆された.
習慣的な葉巻喫煙は,他の危険因子とは独立して,冠動脈疾患,COPD,および上気道-上部消化管癌と肺癌のリスクを上昇させる.