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January 28, 1999 Vol. 340 No. 4

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急性心筋梗塞に対して“米国の最高の病院”がより優れた治療を提供するのだろうか?
DO "AMERICA'S BEST HOSPITALS" PERFORM BETTER FOR ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION ?

J. CHEN, M.J. RADFORD, Y. WANG, T.A. MARCINIAK, AND H.M. KRUMHOLZ

背景

“米国の最高の病院”,これは米国ニュース&ワールドレポート(U.S. News & World Report)が毎年発表している影響力の大きいリストであるが,このリストは病院の質を評価したものである.心臓病学の領域で最高のランクに評価されている病院に入院した患者が,他の病院に入院した患者よりも,急性心筋梗塞による短期の死亡率が低いかどうかということや,死亡率の差が推奨されている治療法の施行の違いによって説明できるかどうかということはわかっていない.

方 法

メディケア(老齢者医療保障制度)の受給者で,1994~95 年に急性心筋梗塞を発症した 149,177 例の高齢者を対象とした共同心血管プロジェクト(Cooperative Cardiovascular Project)のデータを利用して,以下のような 3 種類の病院に入院した患者のケアと転帰についての調査を行った:心臓病学の領域で高い評価を受けている病院(最高ランクの病院); 最高ランクではないが,心カテーテル検査,冠動脈再建術,およびバイパス術の設備のある病院(同程度の設備が整っている病院); および上記以外の病院(同程度の設備が整っていない病院).30 日目までの死亡率を以下の観点から比較した;アスピリン,β遮断薬,および再灌流療法の施行率;および各種治療の施行率の差と短期の死亡率との関連性.

結 果

最高ランクの病院への入院は,補正した 30 日死亡率が低かったことと関連があった(オッズ比,0.87; 95%信頼区間,0.76~1.00;最高ランクの病院とそれ以外の病院との比較で p=0.05).最高ランクの病院では,それぞれの治療が禁忌ではなかった患者に対して,アスピリンの使用率(96.2%に対して,同程度の設備が整っている病院では 88.6%,同程度の設備が整っていない病院では 83.4%;p<0.01)と β遮断薬の使用率(75.0% 対 61.8% および 58.7%,p<0.01)が有意に高かったが,再灌流療法の施行率(61.0% 対 70.7% および 65.6%,p=0.03)は低かった.最高ランクの病院に入院したことによる生存の向上は,アスピリンおよび β遮断薬の使用を含んだ因子で補正すると,それほど確信できるものではなくなかった(オッズ比,0.94;95%信頼区間,0.82~1.08;p=0.38).

結 論

“米国の最高の病院”のリストで高い評価を受けている病院への入院は,急性心筋梗塞の高齢患者の 30 日死亡率が低かったことと関連があった.生存の向上の実質的な部分は,これらの病院でアスピリンと β遮断薬の治療の施行率が高かったことと関係があるのかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 286 - 92. )