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August 5, 1999 Vol. 341 No. 6

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ジドブジン治療女性におけるヒト免疫不全ウイルス 1 型の周産期伝播の危険因子
Risk Factors for Perinatal Transmission of Human Immunodeficiency Virus Type 1 in Women Treated with Zidovudine

L.M. MOFENSON AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の周産期伝播のリスクと関連のある母体,産科,および新生児に関する因子は,妊娠女性に対してジドブジン療法が広く使用されるようになる以前の段階で同定されていた.しかしながら,これらの女性と新生児がジドブジンの治療を受けている場合の伝播の危険因子については,十分には説明されていない.

方 法

ジドブジンの治療を受けていた女性 480 例とその新生児を対象として,HIV-1 の周産期伝播のリスクに対する母体,産科,および新生児に関する特性と,母体側のウイルス学および免疫学的な変数の影響について調査した.これらの女性と新生児は,周産期伝播の予防を目的とした受動免疫予防の第 III 相臨床試験に参加していた.

結 果

単変量解析では,周産期伝播のリスクは以下の各因子と関連していた:ベースライン時における母体の CD4 陽性リンパ球数の低値;ベースライン時および分娩時における母体の HIV-1 の p24 蛋白に対する抗体量の低値;ベースライン時および分娩時における母対の HIV-1 力価の上昇;ベースライン時および分娩時における母体の HIV-1 の RNA 量の高値;および分娩時における絨毛羊膜炎の存在.多変量解析では,唯一の独立した危険因子は,ベースライン時(伝播のオッズ比,RNA のコピー数の対数増加当り 2.4;95%信頼区間,1.2~4.7;p = 0.02)および分娩時(オッズ比,3.4;95%信頼区間,1.7~6.8;p = 0.001)における母体の HIV-1 RNA 量であった.HIV-1 量がベースライン時に検出限界(500 コピー/mL)未満であった 84 例の女性と分娩時に検出限界未満であった 107 例の女性では,HIV-1 の周産期伝播は認められなかった.

結 論

その全例がジドブジンの治療を受けた妊娠女性とその新生児では,母体の血漿中の HIV-1 RNA 量が,HIV-1 の周産期伝播のリスクのもっとも優れた予測因子であった.抗レトロウイルス療法によって HIV-1 RNA 量を 500 コピー/mL 未満にまで減少させることが,これらの女性の健康を向上させるだけでなく,周産期伝播のリスクを最小限に抑えるようである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 385 - 93. )