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August 5, 1999 Vol. 341 No. 6

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肝硬変と特発性細菌性腹膜炎の合併患者における腎障害および死亡に対するアルブミンの静脈内投与の効果
Effect of Intravenous Albumin on Renal Impairment and Mortality in Patients with Cirrhosis and Spontaneous Bacterial Peritonitis

P. SORT AND OTHERS

背景

肝硬変に特発性細菌性腹膜炎を併発した患者では,しばしば腎機能が障害されることがある.この腎障害は,おそらく有効動脈血流量の減少に関連したものであるが,死亡率の上昇とも関連している.そこで,われわれは,アルブミンの静脈内投与による血漿量の増大が,これらの患者において,腎障害を予防するかどうかということと,死亡を減少させるかどうかということを確認するための試験を実施した.

方 法

肝硬変と特発性細菌性腹膜炎を合併していた患者 126 例を,セフォタキシムの静脈内投与(63 例)またはセフォタキシムとアルブミンの静脈内投与(63 例)に無作為に割り付けた.セフォタキシムは血清クレアチニン値によって用量を調節して連日投与し,アルブミンは体重 1 kg 当り 1.5 g を診断時に投与し,試験 3 日目にも 1 g/kg 体重を投与した.腎障害は,入院中の腎機能の非可逆的な悪化と定義した.

結 果

感染症は,セフォタキシム群の 59 例(94%)とセフォタキシム+アルブミン群の 62 例(98%)で治癒した(p = 0.36).腎障害は,セフォタキシム群の 21 例(33%)とセフォタキシム+アルブミン群の 6 例(10%)が発症した(p = 0.002).院内死亡は,セフォタキシム群では 18 例(29%)であったのに対して,セフォタキシム+アルブミン群では 6 例(10%)であった(p = 0.01);3 ヵ月の時点で,死亡率はそれぞれ 41%(計 26 例死亡)と 22%(計 14 例死亡)であった(p = 0.03).セフォタキシムの投与を受けた患者では,血漿レニン活性(PRA)がセフォタキシムとアルブミンの投与を受けた患者よりも高く,腎障害を発症した患者でもっとも高かった.

結 論

肝硬変と特発性細菌性腹膜炎の合併患者に対しては,抗菌薬にアルブミンの静脈内投与を追加した治療が,抗菌薬のみによる治療と比較して腎障害および死亡の発生率を減少させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 403 - 9. )