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August 12, 1999 Vol. 341 No. 7

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稲植物の花粉による免疫療法の長期臨床有効性
Long-Term Clinical Efficacy of Grass-Pollen Immunotherapy

S.R. DURHAM AND OTHERS

背景

花粉を用いた免疫療法は,IgE が介在する季節性のアレルギー性鼻炎の特定の患者には有効であるが,治療中止後も長期にわたって有益性があるかどうかについては明確でない.

方 法

稲科植物の花粉アレルギーに対する免疫療法の中止に関する無作為二重盲検プラセボ比較試験を,この免疫療法を 3~4 年間実施して有効であることがすでに確認されている患者を対象として実施した.本試験の転帰の主要評価尺度は,3 年間の試験期間における季節性症状のスコアと対症療法薬の使用であった.客観的な評価尺度として,アレルゲン誘発に対する即時結膜反応と即時および遅発皮膚反応を含めた.また,アレルゲン誘発試験の皮内注射を行った 24 時間後に皮膚生検して,T 細胞の浸潤およびサイトカインを産生するヘルパー T 細胞(TH2 細胞)の存在(インターロイキン-4 のメッセンジャー RNA の存在によって確証されたもの)についても調べた.これらの患者とマッチさせた枯草熱の免疫療法を受けたことのない患者群についても,本疾患の自然経過対照として追跡調査を行った.

結 果

季節性症状のスコアと,プレドニゾロンの短期投与を含む対症的抗アレルギー薬の使用は,免疫療法を中止した後も低下したままで,免疫療法の継続患者と中止患者のあいだには有意な差は認められなかった.この二つの治療群の症状スコアは(1995 年の曲線下面積の中央値,免疫療法の継続群が 921,中止群が 504;p = 0.60),免疫療法を受けたことのない患者群(1995 年の中央値,2,863)より著しく低下していた.アレルゲンに対する即時型の過敏症は,免疫療法中止後かなりの時間が経過してから再発するような傾向がみられたが,遅発型の皮膚反応とそれに関連した CD3+ T 細胞の浸潤,およびインターロイキン-4 のメッセンジャー RNA の発現は抑えられたままであった.

結 論

稲科植物の花粉アレルギーに対する免疫療法を 3~4 年間継続すると,免疫学的応答性の持続的変化を伴った長期にわたる臨床的寛解が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 468 - 75. )