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August 12, 1999 Vol. 341 No. 7

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小細胞肺癌の完全寛解患者に対する予防的頭部放射線照射
Prophylactic Cranial Irradiation for Patients with Small-Cell Lung Cancer in Complete Remission

A. AUPERIN AND OTHERS

背景

小細胞肺癌患者に対する予防的頭部放射線照射は,脳転移の発生を減少させる.しかしながら,この治療を完全寛解の患者に実施したときに,その生存を改善するのかどうかはわかっていない.われわれは,予防的頭部放射線照射によって,生存期間を延長させることができるかどうかを確認するためのメタアナリシスを実施した.

方 法

予防的頭部放射線照射の実施と非実施の比較を行っていた 7 試験に参加していた小細胞肺癌の完全寛解患者,987 例の個人データの解析を行った.主要エンドポイントは生存であった.

結 果

対照群に対する治療群の死亡の相対危険度は 0.84(95%信頼区間,0.73 ~0.97; p = 0.01)であった.そして,これは 3 年生存率の 5.4%の上昇に相当するものであった(対照群 15.3% 対 治療群 20.7%).さらに,予防的頭部放射線照射は,無病生存率を上昇させるとともに(再発または死亡の相対危険度,0.75; 95%信頼区間,0.65 ~ 0.86; p < 0.001),脳転移の累積発生率をも低下させていた(相対危険度,0.46; 95%信頼区間,0.38 ~ 0.57; p < 0.001).総照射線量を四つに層別して解析すると(8 Gy,24 ~ 25 Gy,30 Gy,および 36 ~ 40 Gy),脳転移のリスクは,照射線量が多くなるほど大きく低下していたが(傾向性について p = 0.02),生存に対する効果には照射線量による有意な差は認められなかった.また,頭部への放射線照射を,寛解導入化学療法の開始後早期に開始するほど,脳転移のリスクが低下する傾向を認めた(p = 0.01).

結 論

小細胞肺癌の完全寛解の患者においては,予防的頭部放射線照射が,全生存と無病生存のどちらをも改善させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 476 - 84. )