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April 20, 2000 Vol. 342 No. 16

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疼痛および体調不良に対する賠償除外がむち打ち損傷の保険請求の帰結におよぼす影響
Effect of Eliminating Compensation for Pain and Suffering on the Outcome of Insurance Claims for Whiplash Injury

J.D. CASSIDY AND OTHERS

背景

乗り物の衝突によるむち打ち損傷の発生率と予後は,疼痛および体調不良に対する賠償を受けられるかどうかという資格に関連しているかもしれない.

方 法

カナダのサスカチェワン州では,1995 年 1 月に,疼痛および体調不良に対する賠償を含む交通事故の過失傷害賠償制度が,これらの賠償を含まない無過失傷害賠償制度に変更された.この変更が,むち打ち損傷の保険請求の減少と回復の改善に関連していたのかどうかを調べるために,1994 年 7 月 1 日~95 年 12 月 31 日までのあいだに交通事故の傷害保険を請求した人の地域ベースのコホート研究を行った.

結 果

本研究に適格と考えられた 9,006 人の請求者のうち,今回のむち打ち損傷の基準に適合していた請求者は 7,462 人(83%)であった.この保険請求の 6 ヵ月累積請求率は,過失制度が施行されていた最後の 6 ヵ月は 100,000 人当り 417 人であったのに対して,無過失制度が施行されるようになった最初の 6 ヵ月間および次の 6 ヵ月間は,それぞれ,100,000 人当り 302 人および 296 人であった.また,この請求率は,どの期間においても男性よりも女性で高かった; この請求率は,過失制度の施行期間から無過失制度の施行期間の 2 期間を併せた期間までのあいだに,男性が 43%,女性が 15%低下した.むち打ち損傷を受けた日から請求終了までの期間の中央値は,変更前が 433 日間(95%信頼区間,409~457 日間)であったのが,変更後には,それぞれ 194日間(95%信頼区間,182~206 日間)および 203 日間(95%信頼区間,193~213 日間)に短縮した.この請求終了までの期間は,どちらの制度においても,頸部痛の強度,身体機能のレベル,および抑うつ症状の有無と強く関連していた.

結 論

疼痛と体調不良に対する賠償が除外されたことによって,むち打ち損傷の保険請求が減少するとともに,その予後も改善している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1179 - 86. )