2 型糖尿病患者における食物繊維高摂取の有益な効果
Beneficial Effects of High Dietary Fiber Intake in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
M. CHANDALIA AND OTHERS
2 型糖尿病患者の血糖コントロールにおいて,食物繊維の摂取量を増加させることの効果については意見がわかれている.
無作為化クロスオーバー試験において,2 型糖尿病患者 13 例を,6 週間の食事療法として,米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA)が推奨する適量の食物繊維を含む食事(総量,24 g;水溶性食物繊維 8 g,不溶性食物繊維 16 g)を摂取する群と,食物繊維強化食品を含まない(すなわち非強化食品を使用する)高食物繊維食(総量,50 g;水溶性食物繊維 25 g,不溶性食物繊維 25 g)を摂取する群のいずれかに割り付けた.いずれの食事も,研究調理室で準備されたもので,大栄養素の含有量とエネルギー量は同じであった.この 2 種類の食事療法の,血糖コントロールと血漿中の脂質濃度に対する効果を比較した.
食事療法に対するコンプライアンスは非常に良好であった.6 週目の時点で,高食物繊維食群では,ADA 食群に比べて食前の血漿中グルコース濃度の平均値が 13 mg/dL(0.7 mmol/L)低く(95%信頼区間,1~24 mg/dL [0.1~1.3 mmol/L];p = 0.04),1 日尿糖排泄量の平均値が 1.3 g 低かった(差の中央値,0.23 g;95%信頼区間,0.03~1.83;p = 0.008).また高食物繊維食群では,2 時間間隔で 24 時間測定したグルコースとインスリンの血漿中濃度の曲線下面積(AUC 0~24 h)も,それぞれ 10%(p = 0.02)および 12%(p = 0.05)減少していた.また,高食物繊維食は,血漿中の総コレステロール値を 6.7%低下させ(p = 0.02),トリグリセリド値を 10.2%低下させ(p = 0.02),超低比重(VLD)リポ蛋白コレステロール値を 12.5%低下させた(p = 0.01).
2 型糖尿病患者では,食物繊維の高摂取,とくに水溶性食物繊維の ADA 推奨摂取量を超える摂取によって,血糖コントロールが改善され,高インスリン血症が減少し,血漿中の脂質濃度が低下する.