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January 20, 2000 Vol. 342 No. 3

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高リスク患者におけるビタミン E 補充と心血管系イベント
Vitamin E Supplementation and Cardiovascular Events in High-Risk Patients

THE HEART OUTCOMES PREVENTION EVALUATION STUDY INVESTIGATORS

背景

観察研究および実験的研究において,食物および栄養補助食品からのビタミン E の摂取量が,冠動脈性心疾患とアテローム性動脈硬化症のリスクの低下に関連していることが示唆されている.

方 法

本試験の全体で,心血管系疾患または糖尿病と,これら以外にもう一つの危険因子を有していたために,心疾患イベントのリスクが高くなっていた 55 歳以上の女性 2,545 例と男性 6,996 例が組み入れられた.これらの患者を,2×2 の要因デザインに従って無作為に割り付け,天然物質由来のビタミン E の 400 IU またはこれとマッチしたプラセボのどちらかの連日投与と,さらにアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(ラミプリル [ramipril])またはこれとマッチしたプラセボの投与を平均 4.5 年間行った(ラミプリルとプラセボを比較した結果は,本号掲載のもう一方の論文で報告されている).主要転帰は,心筋梗塞,脳卒中,および心血管系の死因による死亡を複合したものであった.副次的転帰は,不安定狭心症,うっ血性心不全,血行再建術または切断術の施行,あらゆる死因による死亡,糖尿病の合併症,および癌などであった.

結 果

全体では,ビタミン E に割り付けられた 4,761 例の患者のうちの 772 例(16.2%)と,プラセボに割り付けられた 4,780 例の患者のうちの 739 例(15.5%)に,主要転帰のイベントが発生した(相対リスク,1.05; 95%信頼区間,0.95~1.16; p = 0.33).心血管系の死因による死亡者数(ビタミン E 群の患者 342 例 対 プラセボ群の患者 328 例; 相対リスク,1.05; 95%信頼区間,0.90~1.22),心筋梗塞の発生(532 例 対 524 例; 相対リスク,1.02; 95%信頼区間,0.90~1.15),あるいは脳卒中の発生(209 例 対 180 例; 相対リスク,1.17; 95%信頼区間,0.95~1.42)には有意差は認められなかった.副次的心血管系イベントの発生やあらゆる死因による死亡にも有意差は認められなかった.また,ビタミン E の有意な有害事象も認められなかった.

結 論

心血管系イベントのリスクが高い患者において,平均 4.5 年間のビタミン E 投与には,心血管系の転帰に対する明らかな効果は認められない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 154 - 60. )