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June 1, 2000 Vol. 342 No. 22

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クローン病に対する成長ホルモン療法についての予備試験
A Preliminary Study of Growth Hormone Therapy for Crohn's Disease

A.E. SLONIM AND OTHERS

背景

クローン病は腸の慢性炎症性疾患の 1 種である.われわれは,ここで報告する予備試験において,成長ホルモン(ソマトロピン)の投与も,高タンパク食事療法と同様に,クローン病の症状を改善させるかということについて評価した.

方 法

中等度から重度の活動型クローン病の成人患者 37 例を,成長ホルモン(投与量は 5 mg/日の 1 週間の皮下投与,それ以降の維持用量は 1.5 mg/日),またはプラセボの 4 ヵ月間の自己注射に無作為に割り付けた.食事療法については,すべての患者に,1 日のタンパク摂取量を体重当たり少なくとも 2 g/kg 増量するように指示した.また,クローン病の治療については,患者にはこれまで通りの医師の診療を受けさせ,他のクローン病の治療薬も継続させた.主要エンドポイントは,クローン病活動指数(the Crohn's Disease Activity Index)のスコアの試験開始時から試験 4 ヵ月目までの変化とした.このスコアは 0~600 までの値をとり,スコアが高くなるほどクローン病の活動が活発であることを示している.

結 果

試験開始時のクローン病活動指数の平均(±SD)スコアは,成長ホルモン群の 19 例の患者が,プラセボ群の 18 例の患者よりも多少高かった(287±134 対 213±120,p=0.09).プラセボ群の患者の 3 例については,追跡調査の初回来院前に投与を中止してしまっていたので,データの解析には含めなかった.試験 4 ヵ月目の時点におけるクローン病活動指数のスコアは,平均で,成長ホルモン群では 143±144 ポイント低下したのに対して,プラセボ群では 19±63 ポイント低下しただけであった(p=0.004).成長ホルモン群の副作用としては,浮腫(10 例)や頭痛(5 例)などが発現したが,一般には治療を開始してから 1 ヵ月目までに消失していた.

結 論

今回の予備試験は,成長ホルモンが,クローン病患者に有用な治療法であるかもしれないと示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1633 - 7. )