The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 15, 2000 Vol. 342 No. 24

肥大型心筋症における左室肥大の程度と突然死のリスク
Magnitude of Left Ventricular Hypertrophy and Risk of Sudden Death in Hypertrophic Cardiomyopathy

P. SPIRITO AND OTHERS

背景

 突然死は,肥大型心筋症によって生じ得る帰結の一つである.しかしながら,この突然死のリスクの定量化は,この疾患のほとんどの患者においていまだに不正確なままである.

方 法

 われわれは,肥大型心筋症の連続した 480 例の患者を対象として,左室肥大の程度と死亡の関連について評価した.これらの患者を,最大左室壁厚にしたがって五つの部分集団に分類した: 15 mm 以下,16~19 mm,20~24 mm,25~29 mm,および 30 mm 以上.患者の年齢範囲は 1~89 歳(中央値,47 歳)であった.

結 果

 平均追跡調査期間は 6.5 年間であったが,この期間中に 480 例の患者のうちの 65 例(14%)が死亡した: そのうちの 23 例が突然死,15 例が心不全による死亡,27 例が非心原性あるいは脳卒中による死亡であった.突然死のリスクは,左室壁厚に直接関連して段階的に上昇し(p = 0.001),その範囲は左室壁厚が 15 mm 以下の患者集団の 1,000 人-年当り 0(95%信頼区間,0~14.4)から,左室壁厚が 30 mm 以上の患者集団の 1,000 人-年当り 18.2(95%信頼区間,7.3~37.6)までであった.また,この突然死のリスクを,左室壁厚で分類した患者の部分集団間でみてみると,左室壁厚の分類が 1 段階大きくなるごとに約 2 倍に上昇していった.初回評価から 20 年間の累積リスクは,左室壁厚が 19 mm 以下の患者ではほぼ 0 であったが,30 mm 以上の患者では約 40%であった.また,他の部分集団と比較して,肥大の程度がもっとも高度であった患者では年齢がもっとも若く(平均年齢,31 歳),軽度の症状または無症状の患者が大半であった(43 例中の 41 例); 初回評価時の年齢が 18 歳未満であった 12 例の患者については,そのうちの 5 例が急死した.

結 論

 肥大型心筋症では,肥大の程度が,突然死のリスクに直接関連しており,予後の強力かつ独立した予測因子である.肥大の程度が非常に高度な若年患者では,たとえ症状がほとんどあるいはまったく認められない場合でも,その長期リスクはかなり高いと考えられるため,突然死を予防するための介入を検討する価値がある.肥大の程度が軽度の患者の大多数は突然死のリスクが低いため,予後に関して安心してもらうことができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1778 - 85. )