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January 27, 2000 Vol. 342 No. 4

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乳児および幼児におけるインフルエンザと呼吸器疾患による入院率
Influenza and the Rates of Hospitalization for Respiratory Disease among Infants and Young Children

H.S. IZURIETA AND OTHERS

背景

幼児では,インフルエンザウイルス感染によって重篤な合併症のリスクが上昇することが考えられる.しかしながら,人口ベースの研究では,インフルエンザウイルスの影響とニューモウイルス属の respiratory syncytial(RS)ウイルスによる影響を区別することは困難である.RS ウイルスは,インフルエンザウイルスと同時期に流行ことが多く,乳児と幼児における下気道感染症による入院のもっとも一般的な原因である.今回,われわれは,インフルエンザウイルスの流行が RS ウイルスの流行よりも優勢な時期において,乳児および小児の急性呼吸器疾患による入院率について検討した.

方 法

1992~97 年のあいだ毎年 10 月~5 月までの季節において,ワシントン州と北部カリフォルニア州で,インフルエンザウイルスの流行が RS ウイルスよりも優勢であった時期を,地域のウイルス監視データを用いて定義した.北部カリフォルニア州カイザーパーマネンテ医療プログラム(the Kaiser Permanente Medical Care Program of Northern California)またはピージェット湾グループ保健協同組合(the Group Health Cooperative of Puget Sound)に加入していた乳幼児と 18 歳未満の小児のすべてを対象として,急性呼吸器疾患による入院率,インフルエンザウイルスによる超過入院率,および流行期とベースライン期における発生率の比を求めた.

結 果

インフルエンザの合併症(たとえば,喘息,心血管系疾患,早産など)のリスクを上昇させるような状態にない 2 歳未満の小児における急性呼吸器疾患による入院率は,北部カリフォルニア州カイザーの研究地域では 10 万人-月当り 231 件(1993~97 年),グループ保健協同組合の研究地域では 10 万人-月当り 193 件(1992~97 年)であった.これらの割合は,高リスク状態を有していなかった 5~17 歳の小児における入院率の約 12 倍も高く(北部カリフォルニア州カイザーの研究地域では 10 万人-月当り 19 件,グループ保健協同組合の研究地域では 10 万人-月当り 16 件),慢性疾患を有する 5~17 歳の小児における入院率に近似したものであった(それぞれの研究地域で,10 万人-月当り 386 件,および 10 万人-月当り 216件).

結 論

慢性あるいは重篤な医学的な疾患を有していない乳児および幼児は,インフルエンザの季節に,入院のリスクが上昇している.したがって,これらの小児には,日常的なインフルエンザワクチンの接種を検討すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 232 - 9. )