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February 10, 2000 Vol. 342 No. 6

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肥大型心筋症の患者における突然死の予防に対する植込み型除細動器の有効性
Efficacy of Implantable Cardioverter–Defibrillators for the Prevention of Sudden Death in Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy

B.J. MARON AND OTHERS

背景

肥大型心筋症は,とくに若年層の患者においては,心室頻拍性不整脈と突然死のリスクと関連のある遺伝性の疾患である.

方 法

突然死の予防に対する植込み型除細動器の有効性について,突然死のリスクが高いと判断された肥大型心筋症 128 例の患者を対象としたレトロスペクティブの多施設共同研究を実施した.

結 果

患者が除細動器の体内植込みを受けたときの年齢は,8 ~ 82 歳(平均[± SD ],40 ± 16 歳)で,69 例(54%)の患者は 41 歳未満であった.平均の追跡調査期間は 3.1 年間であった.洞リズムの回復に関しては,除細動器は,29 例(23%)の患者において,電気的除細動ショックや抗頻拍ペーシングを与えることによって適切に作動していた; 除細動器が作動したときの患者の平均年齢は 41 歳であった.除細動器の適切な放電の割合は年当り 7%であった.合計で 32 例(25%)の患者に,不適切な放電が発現していた.二次予防(心停止または持続性心室頻拍が発現した後の二次予防)の目的で除細動器の植込みを受けた 43 例の患者群では,19 例の患者において,除細動器は適切に作動していた(年当り 11%).危険因子を有していたために予防的な植込み(すなわち,一次予防)を受けた 85 例の患者では,10 例の患者において適切に作動していた(年当り 5%).植込みから最初に適切な放電が誘発されるまでの間隔には大きな変動が認められたが,6 例の患者ではかなり長くなっていた(4 ~ 9 年間).心電図データが保存されていて,除細動器の介入が適切であった 21 例の患者すべてで,介入は心室頻拍または心室細動が引き金となったものであった.

結 論

心室性頻拍あるいは細動は,肥大型心筋症の患者における突然死のもっとも重要なメカニズムであると考えられる.そして,肥大型心筋症の高リスク患者においては,このような不整脈を止めるのに植込み型除細動器が非常に有効である.このことは,このような装置が突然死の一次および二次予防の役割を担っていることを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 365 - 73. )