The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 24, 2000 Vol. 342 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

オランダにおける安楽死と医師による幇助自殺の履行に伴った臨床問題
Clinical Problems with the Performance of Euthanasia and Physician-Assisted Suicide in the Netherlands

J.H. GROENEWOUD AND OTHERS

背景

安楽死と医師による幇助自殺の履行によって生じる臨床問題の特徴や頻度については,明らかにはされていない.

方 法

今回,われわれは,オランダで実施された安楽死と医師による幇助自殺に関する二つの調査研究(これらの研究の一つは 1990~91 年に,もう一つは 1995~96 年に実施された)の合計で 649 例の症例から得られたデータの解析を行った.今回の研究では,それぞれの臨床問題を,静脈ライン挿入の困難性というような技術的な問題,ミオクローヌスや嘔吐などの合併症,あるいは薬物投与から死亡までの時間が予想よりも長期化したというような完遂の問題に分類した.

結 果

これらの症例に対する医師の意図としては,自殺の幇助が 114 例,安楽死の履行が 535 例であった.どの分類の問題も,安楽死の症例よりも自殺幇助の症例で多く発生していた.すなわち,自殺幇助の症例では,合併症は 7%,完遂の問題(予想よりも長期化した死亡までの時間,昏睡導入の失敗,あるいは患者が覚醒したことによる昏睡への再導入)は 16%に発生していた;安楽死の症例では,合併症および完遂の問題はそれぞれ 3%および 6%であった.自殺幇助の症例 21 例(18%)については,医師が致死薬の投与を決定したので,これらの症例は安楽死の症例になってしまった.このような決定をした理由としては,完遂の問題(12 例)や,患者が薬剤を全部服薬することができなかったこと(5 例)などがあった.

結 論

安楽死と医師による幇助自殺の履行によって臨床問題が生じることがある.オランダでは,自殺を幇助するつもりの医師が,患者が服薬不能であったため,あるいは医師による幇助自殺の完遂に伴った問題のために,ときには,医師自身が致死薬を投与しなければならなくなることがある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 551 - 6. )