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October 19, 2000 Vol. 343 No. 16

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びまん性増殖性ループス腎炎の患者におけるミコフェノール酸モフェチルの有効性
Efficacy of Mycophenolate Mofetil in Patients with Diffuse Proliferative Lupus Nephritis

T.M. CHAN AND OTHERS

背景

重症のループス腎炎の治療には,シクロホスファミドとプレドニゾロンの併用が有効であるが,この併用療法には重篤な有害事象がある.この併用療法のシクロホスファミドを,ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)に置き換えられるかどうかはわかっていない.

方 法

びまん性増殖性ループス腎炎の 42 例の患者において,プレドニゾロンとミコフェノール酸モフェチルを 12 ヵ月間投与するレジメンと,プレドニゾロンとシクロホスファミドの 6 ヵ月間投与に続いてプレゾニゾロンとアザチオプリンを 6 ヵ月間投与するレジメンの有効性と副作用を比較した.完全寛解は,24 時間の尿中蛋白排泄量が 0.3 g 未満で,尿沈査が正常,血清アルブミン濃度が正常,および血清クレアチニンとクレアチニンクリアランスの値が試験開始時の値よりも 15%を超えて上昇しないことと定義した.部分寛解の定義は,24 時間の尿中蛋白排泄量が 0.3~2.9 g の範囲で,血清アルブミン濃度が 3.0 g/dL 以上とした.

結 果

ミコフェノール酸モフェチルとプレドニゾロンの治療を受けた 21 例では(1 群),81%が完全寛解,14%が部分寛解に達したのに対して,シクロホスファミドとプレゾニゾロンに続いてアザチオプリンとプレドニゾロンの治療を受けた 21 例では(2 群),完全寛解および部分寛解に達したのはそれぞれ 76%および 14%であった.蛋白尿の程度,血清アルブミン濃度と血清クレアチニン濃度の改善は,2 群で同程度であった.副作用のために治療を中止した患者は各群 1 例であった.感染症は 1 群の患者の 19%,2 群の患者の 33%に認められた(p = 0.29).これ以外の有害事象は 2 群にしか発現せず,2 群に発現したその他の有害事象は,無月経(23%),脱毛(19%),白血球減少症(10%),死亡(10%)などであった.再発率はそれぞれ 15%および 11%であった.

結 論

びまん性増殖性ループス腎炎の治療において,ミコフェノール酸モフェチルとプレドニゾロンの併用療法の有効性は,シクロホスファミドとプレゾニゾロンに引き続きアザチオプリンとプレドニゾロンを投与するレジメンと同等である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1156 - 62. )