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December 14, 2000 Vol. 343 No. 24

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慢性リンパ球性白血病の初期療法としてのフルダラビンとクロラムブシル (Chlorambucil)の比較
Fludarabine Compared with Chlorambucil as Primary Therapy for Chronic Lymphocytic Leukemia

K.R. RAI AND OTHERS

背景

フルダラビン(Fludarabine)は,クロラムブシル(Chlorambucil)による初回治療に反応しなかった慢性リンパ性白血病の有効な治療の一つである.今回,われわれは,慢性リンパ性白血病の初期治療において,フルダラビンとクロラムブシルの有効性を比較した.

方 法

1990~94 年に,慢性リンパ性白血病の未治療患者 509 例を以下の治療のいずれかに無作為に割り付けた:フルダラビン(25 mg/m2 体表面積を 28 日間ごとに 5 日間連日静脈内投与),クロラムブシル(40 mg m2 体表面積を 28 日間経口投与),またはフルダラビン(20 mg/m2 体表面積を 28 日間ごとに 5 日間連日投与)とクロラムブシル(20 mg/m2 体表面積を 28 日間投与)の併用.1 ヵ月に 1 回の評価において治療に対する反応が付加的に認められた患者には,割り付けられた治療を最大で 12 サイクル継続した.

結 果

フルダラビン+クロラムブシル群への患者の割り付けは,あらかじめ計画されていた中間解析で,毒性が強すぎることおよび有効率がフルダラビン単剤よりも良くはないことが明らかにされたので,その時点で中止された.残りの 2 群については,有効率は,フルダラビン単剤群がクロラムブシル単剤群よりも有意に高かった.フルダラビンの治療を受けた 170 例の患者では,その 20%が完全寛解(CR)に達し,43%に部分寛解(PR)が得られた.クロラムブシルの治療を受けた 181 例の患者では,完全寛解と部分寛解の割合はそれぞれ 4%および 33%であった(CR と PR の両群間比較で,p<0.001).フルダラビン群の寛解持続期間および無進行生存期間は,中央値で 25 ヵ月間および 20 ヵ月間であった.これに対して,クロラムブシル群では,どちらの期間も 14 ヵ月間であった(両方の期間の両群間比較で,p<0.001).フルダラビンの治療を受けた患者の全生存期間の中央値は 66 ヵ月間であったが,他の 2 群の全生存期間との有意な差は認められなかった(クロラムブシル群が 56 ヵ月間,併用治療群が 55 ヵ月間).フルダラビンでは,重症の感染症と好中球減少症がクロラムブシルよりも多く発現したが(p = 0.08),全体としては,この二つの単剤レジメンの毒性作用は耐え得るものであった.

結 論

フルダラビンは,慢性リンパ球性白血病の初回治療で用いると,クロラムブシルよりも,高い有効率が得られるだけでなく,寛解持続期間と無進行生存期間を延長させる;しかしながら,全生存期間の延長は認められない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1750 - 7. )