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December 28, 2000 Vol. 343 No. 26

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慢性リンパ性白血病におけるゲノム異常と生存
Genomic Aberrations and Survival in Chronic Lymphocytic Leukemia

H. DOHNER AND OTHERS

背景

蛍光 in situ ハイブリット形成法によって,慢性リンパ性白血病におけるゲノム異常の検出が改善されている.われわれは,この検出法を用いて慢性リンパ性白血病の患者の染色体異常を同定し,その予後における意義についての評価を行った.

方 法

慢性リンパ性白血病の患者 325 例から採取した血液の単核細胞を用いて,6q21,11q22–23,13q14,および 17p13 の染色体バンドの欠失;3q26,8q24,および 12q13 の染色体バンドのトリソミー;および 14q32 染色体バンドを含んだ部分の転座を,免疫 in situ ハイブリット形成法で分析した.そして,この分子細胞遺伝学的データと臨床所見との相関について検討した.

結 果

染色体異常は,325 例の症例のうちの 268 例(82%)に検出された.もっとも頻度が高かった変化は,13q の欠失(55%),11q の欠失(18%),12q のトリソミー(16%),17p の欠失(7%),および 6q の欠失(6%)であった.統計モデルでは次の五つのカテゴリーを定義した: 17p の欠失,11q の欠失,12q のトリソミー,正常核型,および単独異常としての 13q の欠失;これらの各群に分類された患者の生存時間の中央値は,それぞれ 32 ヵ月間,79 ヵ月間,114 ヵ月間,111 ヵ月間,および 133 ヵ月間であった.17p の欠失群と 11q の欠失群の患者は,残りの 3 群の患者よりも白血病が進行していた.診断から初回治療までの無治療期間の中央値は,17p が欠失した患者がもっとも短く(9 ヵ月間),13q が欠失した患者がもっとも長かった(92 ヵ月間).多変量解析では,17p の欠失の有無,11q の欠失の有無,年齢,Binet の病期分類,血清中の乳酸脱水素酵素濃度,および白血球数が,有意な予後情報を提供していた.

結 論

慢性リンパ性白血病のゲノム異常は,その予後および生存の重要な独立した予測因子である.これらの知見は,リスクに適合した治療方針の設計に重要な意味をもっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1910 - 6. )