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July 27, 2000 Vol. 343 No. 4

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非代償性うっ血性心不全の治療におけるネシリチド(ナトリウム利尿ペプチド)の静脈内投与
Intravenous Nesiritide, a Natriuretic Peptide, in the Treatment of Decompensated Congestive Heart Failure

W.S. COLUCCI AND OTHERS

背景

脳の(B 型)ナトリウム利尿ペプチドであるネシリチド(Nesiritide)の静脈内点滴投与は,非代償性うっ血性心不全の患者の血行動態に対して有益な作用を有している.そこで,われわれは,このような患者におけるネシリチドの臨床使用についての検討を行った.

方 法

症候性のうっ血性心不全によって入院していた患者を,有効性試験または比較試験のいずれかに組み入れた.Swan–Ganz カテーテルの留置が必要であった有効性試験では,肺毛細管楔入圧が 18 mmHg 以上および心係数が体表面積 1 m2 当り 2.7 L/分以下であった 127 例の患者を,6 時間のプラセボまたはネシリチド(体重 1 kg 当り 0.015 または 0.030 μg/分の速度で点滴)の二重盲検治療に無作為に割り付けた.血行動態モニタリングを必要としていなかった比較試験では,305 例の患者を,標準薬または最長で 7 日間のネシリチドの非盲検治療に無作為に割り付けた.

結 果

有効性試験では,ネシリチドの点滴を 0.015 および 0.030 μg/kg/分の速度で受けた患者は,6 時間の時点において,肺動脈楔入圧がそれぞれ 6.0 および 9.6 mmHg 下降した(これに対してプラセボでは 2.0 mmHg 上昇した,p<0.001).さらに,全体的な臨床状態はこれらの患者の 60%および 67%で改善し(これに対してプラセボの投与を受けた患者では 14%で改善しただけであった,p<0.001),呼吸困難はこれらの患者の 57%および 53%で軽減し(これに対してプラセボの投与を受けた患者では 12%で軽減しただけであった,p < 0.001),倦怠感もこれらの患者の 32%および 38%で軽減した(これに対してプラセボの投与を受けた患者では 5%で軽減しただけであった,p<0.001).一方の比較試験では,最長で 7 日間のネシリチドの治療によって,全体的な臨床状態,呼吸困難,および倦怠感に持続した改善が得られたが,その程度は心不全の標準的な静脈内投与療法で観察された改善と同程度であった.もっとも発現頻度が高かった副作用は用量依存の低血圧であったが,この低血圧は,普通は無症状であった.

結 論

非代償性うっ血性心不全で入院している患者は,ネシリチドの治療によって,その血行動態機能と臨床状態が改善する.したがって,ネシリチドの静脈内投与は,非代償性うっ血性心不全の短期治療に有用である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 246 - 53. )