The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 27, 2000 Vol. 343 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

陽電子放射断層撮影法による非小細胞肺癌の術前病期分類
Preoperative Staging of Non–Small-Cell Lung Cancer with Positron-Emission Tomography

R.M. PIETERMAN AND OTHERS

背景

非小細胞肺癌の病期分類には,多くの場合,複数の術前検査と侵襲的な手技が必要である.全身の陽電子放射断層撮影法(PET)は,この腫瘍の患者の評価を簡素化させて改善させる可能性がある.

方 法

切除可能な非小細胞肺癌の患者 102 例を対象とし,縦隔リンパ節および遠隔部への転移の検出について,標準的な病期分類法(コンピュータ断層撮影法[CT],超音波検査,骨スキャン法,必要な場合には針生検)と PET を加えた病期分類法の検出能を前向きに比較した.縦隔転移の存在は組織病理学的に確認した.PET で検出された遠隔転移は,標準的な画像検査と生検によってさらに詳しく評価した.潜在性転移を検出するために,標準的な検査法で,術後 6 ヵ月間患者を追跡した.悪性の縦隔リンパ節転移を同定する PET と CT の検出能の評価には,ロジスティック回帰分析を用いた.

結 果

縦隔転移の検出における PET の感度および特異度は,それぞれ 91%(95%信頼区間,81~100%)および 86%(95%信頼区間,78~94%)であった.また CT の感度と特異度は,75%(95%信頼区間,60~90%)および 66%(95%信頼区間,55~77%)であった.PET と CT の検査結果を相互に補正すると,縦隔リンパ節転移の組織病理学的所見との正の相関性は,PET の検査結果にしか認められなくなった(p<0.001).また,PET は,標準的な検査法では検出されなかった遠隔転移を,102 例中 11 例で同定することができた.縦隔リンパ節転移と遠隔転移の両方の検出における PET の感度と特異度は,それぞれ 95%(95%信頼区間,88~100%)および 83%(95%信頼区間,74~92%)であった.臨床病期の分類に PET を用いると,62 例が,標準的な方法で決定した病期とは異なった病期と判定され,20 例がより初期の病期に,42 例がより進行した病期に分類された.

結 論

PET は,非小細胞肺癌の患者における局所転移と遠隔転移の検出率を向上させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 254 - 61. )