The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 3, 2000 Vol. 343 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

プラバスタチン療法と脳卒中のリスク
Pravastatin Therapy and the Risk of Stroke

H.D. WHITE AND OTHERS

背景

いくつかの疫学研究において,総コレステロール値と脳卒中のリスクとのあいだには関連がないという結論が示されている.脳卒中を病因別に分類した研究のなかには,コレステロール値の上昇と虚血性脳卒中のリスクとの関連や,コレステロール値の低下と出血性脳卒中のリスクとの関連の可能性を示した研究もある.3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素 A(HMG-CoA)還元酵素阻害薬の試験を再評価した最近の総説では,これらの薬剤による脳卒中のリスク低下の可能性が示唆されている.

方 法

われわれは,二重盲検試験(虚血性疾患におけるプラバスタチンの長期介入試験)を実施し,心筋梗塞あるいは不安定狭心症の病歴を有し,総コレステロール値が 155~271 mg/dL(4.0~7.0 mmol/L)であった 9,014 例の患者において,冠動脈心疾患による死亡に対するプラバスタチンの効果(主要エンドポイント)をプラセボの効果と比較した.今回の研究におけるわれわれの目的は,副次的エンドポイントであったあらゆる病因による脳卒中および非出血性脳卒中に対する効果の評価であった.

結 果

6 年間の追跡調査期間中に,373 例の患者に 419 件の脳卒中が発生した.これらの脳卒中は,全体では,309 件が虚血性脳卒中,31 件が出血性脳卒中,79 件が病型不明の脳卒中と分類された.脳卒中のリスクは,プラセボの投与を受けた患者では4.5%であったのに対して,プラバスチンの投与を受けた患者では 3.7%であった(リスクの相対低下,19%; 95%信頼区間,0~34%;p=0.05).非出血性脳卒中は,プラセボの投与を受けた患者の 4.4%に発生したのに対して,プラバスチンの投与を受けた患者では 3.4%に発生しだけであった(リスクの低下,23%;95%信頼区間,5~38%; p=0.02).しかし,出血性脳卒中に対してはプラバスチンは効果を認めなかった(発生率,プラセボ群では 0.2%であったのに対して,プラバスチン群では 0.4%であった;p=0.28).

結 論

プラバスチンには,心筋梗塞あるいは不安定狭心症の既往歴のある患者のあらゆる病因による脳卒中および非出血性脳卒中のリスクの低下において,中等度の効果がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 317 - 26. )