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September 7, 2000 Vol. 343 No. 10

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卵巣摘出術後の性機能障害の女性における経皮的テストステロン治療
Transdermal Testosterone Treatment in Women with Impaired Sexual Function after Oophorectomy

J.L. SHIFREN AND OTHERS

背景

閉経前の女性では,循環性テストステロンのほぼ半分が卵巣から分泌されている.両側卵巣摘出術を受けた女性の多くは,エストロゲンの補充にもかかわらず,術後に性機能障害を訴えている.そこで,われわれは,手術による閉経後,性機能障害が認められた女性を対象として,経皮的テストステロン治療の効果について評価した.

方 法

卵巣摘出術と子宮摘出術を受けた 31~56 歳までの女性 75 例に,ウマ由来結合エストロゲン(最低 1 日用量 0.625 mg を経口投与)を投与しながら,無作為な順番で,プラセボ,テストステロンの 150 μg/日,およびテストステロンの 300 μg/日を,それぞれ 12 週間経皮的に投与した.転帰の評価尺度には,簡易版女性の性機能指数(Brief Index of Sexual Functioning for Women)と心理的全般幸福指数(Psychological General Well-Being Index)のスコア,および電話で調査した性的機能日誌も含めた.

結 果

血清中の平均(±SD)遊離テストステロン濃度は,プラセボ投与中には 1.2±0.8 pg/mL(4.2±2.8 pmol/L)であったのが,テストステロンの 150 μg/日および 300 μg/日の投与中には,それぞれ,3.9±2.4 pg/mL(13.5±8.3 pmol/L)および 5.9±4.8 pg/mL(20.5±16.6 pmol/L)に上昇した(正常範囲,1.3~6.8 pg/mL [4.5~23.6 pmol/L]).簡易版女性の性機能指数で評価した性的活動の頻度および快感–オルガズムのスコア得点に関しては,明らかなプラセボ効果が認められたものの,テストステロンの用量がより高くなると,得点もさらに上昇するという結果であった(いずれもプラセボとの比較で p = 0.03).また,テストステロンの高用量では,性的な想像,マスターベーション,性交のいずれかを週 1 回以上行った女性の割合が,投与開始時の 2~3 倍に上昇した.心理的全般幸福指数でも,絶対的幸福感,抑うつ感情,および総合スコアが,テストステロンの高用量で改善されたが(各項目におけるプラセボとの比較で,p = 0.04,p = 0.03,p = 0.04),電話調査による日誌のスコアには有意な上昇は認められなかった.

結 論

卵巣摘出術と子宮摘出術を受けた女性では,テストステロンの経皮的投与によって,性機能と心理的幸福感が改善される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 682 - 8. )