September 14, 2000 Vol. 343 No. 11
4 種類のポリオウイルスワクチンの追加接種に関する試験
Trial of a Supplemental Dose of Four Poliovirus Vaccines
R.W. SUTTER AND OTHERS
経口ポリオウイルスワクチン(OPV)の免疫原性,とくにポリオウイルス 3型に対する免疫原性は,ほとんどの発展途上国の乳幼児では,工業国の乳幼児よりも低くなっている.そこでわれわれは,4 種類のポリオウイルスワクチンを補充接種したときの免疫応答を評価することを目的として,オマーンで多施設共同試験を実施した.
生後 9 ヵ月の乳幼児を,不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)の皮下投与;米国または欧州で製造された三価の OPV 投与;あるいはポリオウイルス 3 型の一価の OPV の投与に,無作為に割り付けた.血清検体は試験への組み入れ時,および 7 日後と 30 日後に採取した.また,すべての乳幼児がすでに 5 回の OPV 接種を受けていた.
本試験には 1,025 例の乳幼児が組み入れられた;そのうちの 785 例(76.6%)が本試験のすべての必要条件を満たしていた.試験への組み入れ時点にポリオウイルスの血清反応が陽性であった新生児の割合は,1 型が 96.8%,2 型が 98.0%,3 型が 88.0%であった.OPV のワクチン接種を受けた群では,30 日後の時点でポリオウイルス 3 型の血清学的抗体保有率や抗体価の中央値に有意な上昇は認められなかった.IPV のワクチン接種を受けた新生児群では,ポリオウイルス 3 型の血清学的抗体保有率が,試験組み入れ時には 87.8%であったのが,30 日後には 97.1%に上昇し(p<0.001),抗体価の中央値も 1:228 から 1:1,448 以上に上昇した(p<0.001).この接種後,早期の急速な抗体価上昇は,二次免疫応答を示している.
IPV の補充接種には優れた免疫原性があり,3 型ポリオウイルスに対する抗体価を上昇させる.これに対して,経口ワクチンの補充接種にはこのような作用は認められない.