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October 5, 2000 Vol. 343 No. 14

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小児および若年成人における中枢性尿崩症
Central Diabetes Insipidus in Children and Young Adults

M. MAGHNIE AND OTHERS

背景

中枢性尿崩症は,小児や若年成人にはまれであり,その 50%近くが特発性である.この疾患の臨床所見と長期経過についてはほとんどわかっていない.

方 法

四つの施設の小児内分泌科で,1970~96 年に診療を受けた中枢性尿崩症の患者 79 例すべてについて検討を行った.内訳は 37 例が男性,42 例が女性で,診断時の年齢の中央値は 7.0 歳(範囲,0.1~24.8 歳)であった.全例に磁気共鳴画像(MRI)検査と,下垂体前葉機能の定期的な検査を行った.追跡調査期間の中央値は 7.6 年(範囲,1.6~26.2 年間)であった.

結 果

中枢性尿崩症の原因は,12 例がランゲルハンス細胞組織球症,18 例が頭蓋内腫瘍,2 例が頭蓋骨折,1 例が自己免疫多内分泌腺症であった;5 例は家族性疾患であった.残りの 41 例(52%)の病因は特発性と考えられた.初回 MRI では,74 例(94%)には下垂体後葉の高輝度は認めらなかったが,29 例(37%)には下垂体柄の肥厚が観察された.さらに,18 例では,下垂体柄の厚さの経時的な変化が認められ,その変化は,肥厚の正常化(6 例)または減少(1 例)から,肥厚の増大(7 例)あるいは正常柄からの肥厚(4 例)までと,さまざまであった.また,48 例(61%)には,下垂体前葉ホルモン欠損症,主に成長ホルモン欠損症が,中枢性尿崩症の発症から中央値で 0.6 年目(範囲,0.1~18.0 年目)に確認された.

結 論

後天性の中枢性尿崩症の小児および若年成人の大部分は,頭部 MRI で異常所見が認められ,その異常所見は経時的に変化することがある.また半数以上は,経過観察中に下垂体前葉ホルモン欠損症を発症する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 998 - 1007. )