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January 4, 2001 Vol. 344 No. 1

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黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)菌血症の感染源としての鼻での常在保菌
Nasal Carriage as a Source of Staphylococcus aureus Bacteremia

C. VON EIFF, K. BECKER, K. MACHKA, H. STAMMER, AND G. PETERS

背景

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染は重症の経過をたどることがあるので,予防対策を立てることが重要である.血流中から検出された病原菌が患者自身の細菌叢に由来したものなのかどうかを確認するために,血液および鼻の検体から分離された S. aureus について検討した.

方 法

多施設共同研究を実施し,S. aureus 菌血症の患者 219 例の鼻孔前方から,培養用の検体を綿棒で採取した.合計で 723 株の臨床分離株を採取し,その遺伝子型を決定した.第二の研究では,5 年間の期間に 1,278 例の患者の鼻孔から採取,分離された 1,640 株の S. aureus と,その後に S. aureus 菌血症が発症した患者の血液から分離された S. aureus 株とを比較した.

結 果

今回の S. aureus 菌血症の多施設共同試験では,219 例の S. aureus 菌血症患者のうちの 180 例(82%)において,血液からの S. aureus 分離株と鼻孔前方からの S. aureus 分離株が同一であった.第二の研究では,鼻における S. aureus の定着が確認された 1,278 例のうち,14 例が後に S. aureus 菌血症を発症した.これらの 14 例のうち,12 例(86%)では,鼻孔から得られた分離株と,その 1 日~14 ヵ月後に血液から得られた分離株がクローン的に一致していた.

結 論

S. aureus 菌血症の症例の大部分は,鼻粘膜に定着している S. aureus が原因となって発症していることから,内因性起源であると考えられる.これらの結果は,鼻に常在している S. aureus を除菌することによって,S. aureus による全身感染を防ぐという予防戦略を支持するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 11 - 6. )