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April 19, 2001 Vol. 344 No. 16

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中耳腔換気用チューブの挿入の転帰における補助的アデノイド切除術および扁桃摘出術の役割
The Role of Adjuvant Adenoidectomy and Tonsillectomy in the Outcome of the Insertion of Tympanostomy Tubes

P.C. COYTE, R. CROXFORD, W. MCISAAC, W. FELDMAN, AND J. FRIEDBERG

背景

中耳炎は年少小児のもっとも一般的な医学上の問題である.通常の外科的治療は,中耳腔換気用チューブの挿入を併用した鼓膜切開術である.これにアデノイド切除術あるいはアデノイド口蓋扁桃摘出術を併用することの有用性に関しては賛否両論がある.われわれは,これらの補助的治療手技の,中耳腔換気用チューブの再挿入と中耳炎に関連した病態による再入院に対する効果について検討した.

方 法

1995~97 年の期間の退院記録を用いて,カナダのオンタリオ州で,中耳炎の初回外科的治療として中耳腔換気用チューブの挿入を受けた 37,316 例のすべての小児(19 歳以下と定義)の手術結果について調査した.そして,この治療後に中耳炎に関連した病態によって最初に再入院するまでの時間と,中耳腔換気用チューブを再挿入するまでの時間を調査した.

結 果

中耳腔換気用チューブの挿入のみの治療と比較して,補助的アデノイド切除術を併用した治療には,中耳腔換気用チューブを再挿入する確率の低下(相対リスク,0.5;95%信頼区間,0.5~0.6;p<0.001)と,中耳炎に関連した病態によって再入院する確率の低下(相対リスク,0.5;95%信頼区間,0.5~0.6;p<0.001)との関連が認められた.これらの転帰のリスクは,補助的アデノイド口蓋扁桃摘出術も行われた場合にさらに低下した.これらの補助的治療手技の効果は年齢に関連していた.すなわち,補助的アデノイド口蓋扁桃摘出術は,1 歳の小児でも有益であると思われた;また,補助的アデノイド切除術の有益性は 2 歳で明らかになり,3 歳以上の小児で最大になった.

結 論

2 歳以上の小児においては,中耳腔換気用チューブの初回挿入時にアデノイド切除術あるいはアデノイド口蓋扁桃摘出術を同時に実施すると,その後の中耳炎に関連した追加の入院と手術の確率が大幅に低下する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1188 - 95. )