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April 26, 2001 Vol. 344 No. 17

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抗結核薬に対する耐性化の世界的動向
Global Trends in Resistance to Antituberculosis Drugs

M.A. ESPINAL AND OTHERS

背景

抗結核薬に対する耐性化の世界的動向に関するデータは少ない.

方 法

6 大陸の国々で行われた,世界保健機構(WHO)と国際対結核・肺疾患連合(IUATLD)による抗結核薬に対する動向を評価するための調査を拡大して行った.調査データは,継続中の監視または全結核患者を代表する標本の調査の,標準的なプロトコールを用いて収集した.また,標準的な標本抽出法で新規患者と既治療患者を区別し,検査室の能力は品質保証の国際プログラムを用いて点検した.

結 果

1996~99 年に,地理的に異なる 58 ヵ所の患者の調査を行った.28 ヵ所からは,2 年間以上のデータを入手することができた.新たに結核と診断された患者では,1 種類以上の抗結核薬に対する耐性の頻度は,ウルグアイの 1.7%から,エストニアの 36.9%に及んだ(中央値,10.7%).耐性結核の有病率は,エストニアでは 1994 年に 28.2%であったのが 1998 年には 36.9%に上昇し(p = 0.01),デンマークでは 1995 年に 9.9%であったのが 1998 年には 13.1%に上昇した(p=0.04).結核の新規症例における多剤耐性結核の有病率の中央値は 1.0%ほどであったが,次の地域ではより高かった:エストニア(14.1%),中国の河南省(10.8%),ラトビア(9.0%),ロシアのイワノボ州(9.0%)とトムスク州(6.5%),イラン(5.0%),中国の浙江省(4.5%).フランスと米国では,多剤耐性結核の有意な減少が認められた.さらに,エストニアでは,耐性結核の有病率は,1994 年に 11.7%であったのが 1998 年には 18.1%に上昇した(p<0.001).

結 論

多剤耐性結核は,依然として重大な問題であり,とくに東欧の数ヵ国では深刻である.さらに,われわれの調査では,中国やイランのような国々においても,多剤耐性結核の有病率が高い地域が同定された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1294 - 303. )