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June 14, 2001 Vol. 344 No. 24

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非血縁ドナーから臍帯血の提供を受けた成人レシピエントにおける造血細胞の移植と生存
Hematopoietic Engraftment and Survival in Adult Recipients of Umbilical-Cord Blood from Unrelated Donors

M.J. LAUGHLIN AND OTHERS

背景

小児では,HLA がレシピエントと一致していない非血縁ドナーから提供された臍帯血によって,骨髄破壊的治療後に造血を回復させることが可能である.われわれは,成人における造血回復を目的とした臍帯血移植の実施についての検討を行った.

方 法

生死にかかわる血液疾患のある成人 68 例に対して,強力な化学療法または全身放射線照射を実施してから,HLA 不一致臍帯血の移植を行った.血液学的再構築,急性および慢性の移植片対宿主病(GVHD)の発現,再発,および無イベント生存の観点から,転帰について評価した.

結 果

68 例の患者のうち,48 例(71%)が HLA 抗原が 2 個またはそれ以上一致していない臍帯血の移植を受けた.移植後 28 日以上生存した 60 例の患者のうち,55 例で好中球が生着し,その中央値は 27 日(範囲,13~59 日)であった.68 例の患者における好中球回復の推定確率は 0.90(95%信頼区間,0.85~1.0)であった.また,好中球の早期の回復には,凍結前の臍帯血中に有核細胞が比較的多数存在していることが関連していた.重度急性 GVHD(Grade III または IV)は,移植後 100 日目までに評価することができた 55 例の患者のうち,11 例に発現した.慢性 GVHD については,移植後 100 日以上生存した 33 例の患者のうち,12 例に発現した.生存者の追跡調査期間の中央値は 22 ヵ月間(範囲,11~51 ヵ月間)であった.移植を受けた 68 例の患者のうち,19 例が生存しており,このうち 18 例(26%)は無病期間が移植後 40 ヵ月間続いていた.この無イベント生存の改善には,移植細胞に CD34+ 細胞が多数存在していることとの関連が認められた(p = 0.05).

結 論

非血縁ドナーから提供された臍帯血は,骨髄破壊的治療を受ける成人においても造血を回復させることができ,しかも,この移植による重度の急性 GVHD および慢性 GVHD の発現率は許容できる程度のものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1815 - 22. )